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MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

住友銀行秘史(國重惇史)

企業の理念と社会的価値 私のお勧め本

住友銀行秘史』(國重惇史)(〇)

 これはおもしろい!住友銀行元取締役(当時は業務渉外部部付部長)による戦後最大の不正会計事件である「イトマン事件」の暴露本です。「よくここまで書けたな」と驚くくらい、詳細に既述されており、暴露本として秀逸です。

 ①ほとんどの登場人物が実名、②著者が当時詳細に書き記した8冊分の手帳をもとに書き起こされており、「いつ、どこで、誰が、何を、どうした」のかが明確、③繰り返し役所や報道機関などに送られた内部告発書を書いたのが著者であり文面も本書で公表されている、など「本当にここまで書いて問題ないの?」と心配してしまうほどのリアルさです。住友銀行イトマン、マスコミ、大蔵省、日銀・・・当時の人々が何を考え、どう行動したのか、大組織で働く人々の価値感が鮮明に伝わり、読みごたえ十分。いつか映画化される気がします。

 表紙は、イトマン事件の中心人物である、①磯田一郎氏(左下:住友銀行会長)、②河村良彦氏(右下:イトマン社長)、③伊藤寿永光氏(左上:イトマン常務、雅叙園観光・共和綜合開発研究所代表)、④許永中氏(右上:実業家)。

 

イトマン事件とは(Wikipediaより)

【概要】

 大阪市にあった総合商社・伊藤萬(株)をめぐって発生した、商法上の特別背任事件。戦後最大の不正経理事件。

 

【背景】

 伊藤萬は、1883年(明治16年)に創業され一族経営で繊維商社をメインとした会社で、かつては東証1部、大証1部に上場していた。1973年(昭和48年)のオイルショックで経営環境が悪化したことをきっかけに、主力行の住友銀行(現:三井住友銀行)の役員だった河村良彦を社長として起用し、繊維商社から総合商社への方向転換を図った。

  他方、株式会社協和総合開発研究所の社長(経営コンサルタント)だった伊藤寿永光は、コスモポリタン社会長や大阪府信用組合理事会長に対し、雅叙園観光の仕手戦に関して融資していた200億円の貸金が焦げ付いていた。伊藤は、このように資金繰りに窮する中、住友銀行の磯田一郎会長やその腹心である河村に急接近し、伊藤萬の経営に筆頭常務として参加するようになり、伊藤萬を介して住友銀行から融資を受けるようになった。 

 また、雅叙園観光の債権者の一人であった許永中も、同社の再建処理を行う上で伊藤との関係を深めるようになり、伊藤を通じて伊藤萬との関係を持つようになった。

 

【事件の発生】

 1990年5月の日本経済新聞の報道で、伊藤萬の不動産投資による借入金が1兆2000億円に及んだことが明らかになったことをきっかけに、許は、河村に、美術品や貴金属などを投資すれば経営が安定するとの話を持ちかけた。これを受けて、伊藤萬は許永中の絡む三つの会社から、許永中の所有していた絵画・骨董品などを総額676億円で買い受けた。さらに磯田の娘も不明朗な絵画取引に加わったとされる。これらの美術品は鑑定評価書の偽造などが行われ、市価の2~3倍以上という法外な価格であったが、河村や伊藤はこれを認識しながら買い受け、これによって伊藤萬は多額の損害を受けた。異常な取引が続いた背景には河村が磯田の後ろ盾でワンマン体制を取っており、誰も河村を止めることができなかった事情があった。

 そのほか、伊藤や許は、伊藤萬に対して、地上げ屋の経営や、建設の具体性の見えないゴルフ場開発へ多額の資金を投入させた。

 その結果、伊藤萬本体から360億円、全体では3000億円以上の資金が、住友銀行から伊藤萬を介して暴力団関係者など闇社会に消えていった。中には伊藤萬の経営に対し批判的記事を書いた新潮社や日本経済新聞社へのマスコミ工作と称して流出した資金もあった(実際にマスコミ工作が行われたのかは裁判でも明らかになっていない)。

 1991年元日、朝日新聞が「西武百貨店→関西新聞→イトマン 転売で二十五億円高騰」「絵画取引十二点の実態判明、差額はどこへ流れた?」との大見出しで、絵画取引の不正疑惑をスクープした。

 1991年7月23日、大阪地方検察庁特別捜査部は特別背任の疑いで上記伊藤・許・河村を含む6人の被疑者を逮捕し、その後起訴した。

 2005年10月7日、最高裁の上告棄却決定により、許について懲役7年6月・罰金5億円、伊藤について懲役10年、河村について懲役7年の刑がそれぞれ確定した。

 しかし、これらの巨額資金の行方は今もって謎に包まれている。

住友銀行秘史

住友銀行秘史

 

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