『読書の技法』(佐藤優)
月に300~500冊も本を読む超人の読み方ってどんな感じ?という素朴な疑問から購入してみた本書。決してマネはできない思いますが、何となく近い感覚で自分もやっていると確認したところや新たな発見など、得るところの大きな本でした。私は、年間170冊前後のペースですが、本書を読んでみて量的には変化しないかもしれませんが、質的にメリハリがつきそうです。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇「はじめに」より
知識を着実に身につけ、人生を豊かにするためには、正しい道に沿って読書をすることが重要。正しい方法論を確立するために重要になるのは、時間という制約要件について、常に頭に入れておくこと。
〇本の分類
①簡単に読むことができる本
②そこそこ時間がかかる本
③ものすごく時間がかかる本
〇読み方分類
①読まないで済ませるもの
②ざっと目を通すもの
③熟読するもの
■大原則:熟読できる本の数は限られている。
〇速読について
熟読する本が月3~4冊なら、それ以外は速読するしかない。ただし、速読する場合も基礎知識がないと読書にならない。新たな本を読むとき、既知の内容は読み飛ばし、未知の内容を丁寧に読む。
①超速読(1冊5分程度)
②普通の速読(1冊30分~2時間)
■速読術とは熟読術の裏返しの概念。
■熟読術を身につけないで速読術を体得するのは不可能。
■速読の目的は、読まなくてもよい本をはじき出すこと。
〇熟読の技法
知りたい分野の基本書は3冊・5冊と奇数で読む。同じ本を3回読む。1回目は線を引きながら通読、2回目はノートに重要箇所を抜き書き、3回目は再度通読。
【第一読】
①まず本の真ん中くらいのページを読んでみる。
真ん中は本の一番弱いところ。そこをつまみ食いすることで本の水準がわかる。⇒ここで3冊・5冊から1冊を選ぶ。奇数にするのは、定義や見解が異なる場合、多数決にすればよいから。
②シャーペン、消しゴム、ノートを用意する。
③シャーペンで印をつけながら読む。その後重要でないと思えば消す(だからボールペンではない)
【第二読】
④本に囲みをつくる。
⑤囲みの部分をノートに写す。
【第三読】
⑥結論部分を3回読み、もう一度通読する。
⇒3冊・5冊からはじかれた他の書籍は、2~3日かけて第一読。重要箇所をシャーペンで枠囲み、1~2日でノートに写す。迷ったら書き写さない。
〇普通の速読の技法
①完璧主義を捨て、目的意識を明確にする。
②雑誌の場合は、筆者が誰かで判断する。
③定規を当てながら1ページ15秒で読む。
④重要箇所はシャーペンで印をつけ、ポストイットを貼る。
⑤本の重要部分を1ページ15秒、残りを超速読する。
⑥大雑把に理解・記憶し、「インデックス」をつけて整理する。
〇読書ノートのつくり方
・線で囲んだ部分のノートに書き写し、その下に簡単なコメントを走り書きする。これだけで記憶への定着がまったく変わってくる。
・ゆるい形で本を読む習慣が身に付いてしまうと、いくら本を読んで知識を取り入れても、頭の中に定着していかない。本を読んで、「あっ、自分も知っている」という感覚は味わえても、「では、どう知っているのか」と突っ込んだ質問をあらためてされると答えられない。
・読書ノートを作る最大のポイントは、時間をかけ過ぎないこと。30分なら30分、1時間なら1時間と自分で時間を決め、それ以上、時間をかけないこと。
・大切なのは正確な形でデータを引き出せることと、積み重ねた知識を定着させることで、完璧なノートを作ることではない。
〇小説や漫画の読み方
・娯楽以外の2つの効用。①動機づけの側面、②「社会の縮図」「人間と人間の関係の縮図」として類比的に読むという読み方。
・くれぐれも漫画で基礎知識を付けようとしてはいけない。あくまで漫画は動機づけにとどめるべきで、そこに書かれている事実を鵜のみにしないこと。
本書の中で「ここは実感があり共感できる」と思ったのは、①基礎知識あるとないとではスピードも理解も全く異なること、②線を引いたり囲みを書いたりしながら読むこと、③読書ノート(私の場合は読書ブログ)は知識を定着させるために重要な役割を果たしていること。一方、速読よりも熟読が著者のようにしっかりできていないこと。速読よりもむしろ熟読に学びを感じた本書でした。毎回の読書の質を高めることが将来の相当な差に繋がると思うので、少しでも取り入れて読んでみたいと思います。
読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門
- 作者: 佐藤優
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2012/07/27
- メディア: 単行本
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