『「空気」を変えて思いどおりに人を動かす方法』(鈴木博毅)
「空気」は、日本人にとって様々なものを左右する見えない存在。日本には「空気を読む」文化がある。そうした「空気」も歴史を振り返れば戦争が引き起こされたり、ビジネスの世界でも何かおかしいと疑問を感じながらも「そういう空気だから」と決まってしまう案件は多いもの。本書はそうした「空気」について知り、「空気」を動かす方法を学ぶ一冊です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯「空気に騙されない」人になるために
「空気」=「ここで、”それは検討しません”という暗黙の了解」。これは中立的な立場であるときには大きな問題にはならない。ところが誰かが都合よく「空気を作る」ときは、誰かにその点を検討させない、暗黙の了解を相手に受け入れさせることを狙っている。誰かの作った「空気」に飲み込まれることは、一種の目隠しをされていることを意味する。「空気」は死角を生み出すから。
◯影響比率
正しい判断を下すには、その指摘が本題とどれほど密接に関係しているのか、本当は関係していないのか、その「影響比率」が重要。
◯「空気」の4タイプ
①問題への「問い」を設定することで生まれる「空気」
②体験的な思い込みに固くこだわることで生まれる「空気」
③検証、測定による偏った理解に固執して生まれる空気
④選択肢を固定してしまうために生まれる「空気」
◯「空気」を動かす4つのスキル
①現実に対して新しい「問い」を設定する
②体験的な思い込みを解消する
③検証、測定による偏った理解を正す
④選択肢を増やして可能性を高める
◯現実に対して新しい「問い」を設定する
①問題の原因が違うのではないかと考える
②新しいロールモデルを見つける
③つぎ込んだ過去の損失ではなく、避けられる未来の損失をイメージする
④そもそも「何が本当にやりたいのか?」を考える
⑤長期の目標を、驚くほど短気に分割する
⑥他の人を通さず、直接会いに行く
⑦相手の気持ちを受け止めた上で議論する
◯体験的な思い込みを解消する
①「影響比率」や「優先順位」を常に意識して判断する
②思い込みを一緒に検証して自分で判断させる
③プラスの思い込みには、「水」を差して成長の原動力にする
④「あなたは持っているチャンスを無駄にしている」と指摘する
⑤会議で、会社の悪い点を指摘する時間を設ける
⑥直接その人に会って聞いたのか確認する
⑦議論をリアルな数字に置き換える
◯検証、測定による偏った理解を正す
①数字を活用しながらも、数字に騙されない
②責任追及と問題への対処を100%切り離す
③実力よりも高い評価が大切だと考える
④体重計だけでなく体脂肪計を毎日使う
⑤採用基準をガラリと変える
⑥その人から〇〇を取ったら何が残るかを考える
⑦相手を、とりあえず「無理やり高く評価」する
◯選択肢を固定してしまうために生まれる「空気」
①選択肢を3倍に増やし、選択肢の形を大きく変える
②相反することを「両立できる」と決めて挑戦する
③プロに、あなたが成長できる選択肢を「作ってもらう」
④目の前に置かれた選択肢を「嘘」だと疑う
⑤一匹狼のような「群れない人」のアドバイスを聞く
⑥優れた人に会いに行く回数を3倍にする
⑦海外研修、海外留学に行く機会を作る
◯空気を動かすためのキラーフレーズ
①「こんなとき他の人ならどうするか?」
②「それはあなたの価値観に合いますか?」
③「そうでしょうね!」
④「そういえば・・・」
⑤「◯◯さんだったら、どうしますか?」
⑥「死ぬまでに絶対やりたいことは何ですか?」
⑦「最終的に何を達成すべきですか?」
⑧「あ、ちょっといいですか?」
⑨「優先順位の確認をさせてください」
⑩「例えば、こういう方法も可能ですか?」
場や組織の「空気」って確かにありますね。社風とかもそうかもしれません。チームから弾き出されたくないから、なかなか言い出せない。みんなが言うから、まいっか、ってことは日常よくあること。その大きな流れがどういう方向に向かっているのか、自分じゃチェックできないから、個人ならメンター的存在、会社なら社外取締役や監査法人などの役割に意味があるのでしょうね。空気に与える影響を考えると、ポジションパワーの持つ意味や重要性もまた改めて考える機会になりました。