『MBAオペレーション戦略』(グロービス・マネジメント・インスティテュート)
オペレーション戦略の指定教科書。
オペレーションって何?どこまでの範囲を指しているの?と、何を学ぶべきかという入口で迷う分野ですが、要は仕事をきっちり無駄なく正確に回す仕組みをどう作るのかということ。
オペレーションを考えるうえで、モノであれば「在庫」(無駄は即在庫に表れる)、人であれば「手待ち」(動作・思考・意思決定)に着目してみることが大事だと思います。
無駄があれば、必ず何かが止まる。モノの停滞は見えやすいですが、人(特に知的生産系)は停滞が見えにくい。誰もサボっていると思われたくないですからね。
本書は、入門書ではありませんが、オペレーションを考えるうえでの基本的な着眼点が書かれており、まず最初の一冊として良いと思います(但し、2001年発行のものなので、特にシステム化に関しては他で情報の補填が必要)。
(本書のポイント)
〇各業務の最適化を図りながら、全体最適を達成する。この経営全般にわたる広い領域が5つの観点から整理されています。
①顧客の観点(CRM)
「顧客本位であること」(顧客との親密性)、「効率性の追求」(全社的な一貫性)という矛盾を両立するにはどうすればよいか。
【着眼点】顧客ニーズの把握~製品化の循環、チャネルの開拓・管理、営業プロセス、営業・サービスの見える化、など‥
②取引の流れ(SCM)
製造から販売・物流まで、一貫した透明性の高い業務プロセスやルールを設計するにはどうすればよいか。
【着眼点】プル型かプッシュ型か、バリューチェーン間の情報共有、需要予測、流通在庫(誰が在庫リスクを持つか)、リードタイム、など‥
③調達
最小のコストで安定調達を図るにはどうすればよいか。
【着眼点】見積り・発注・納品・支払情報の効率的管理、購買チャネル、生産・技術・調達の連携、納入リードタイム、発注点管理など‥
④研究開発
競合他社よりもリードして製品を市場投入するにはどうすればよいか。
【着眼点】開発リードタイム、図面管理(システム化、モジュール化)、開発体制、など‥
⑤管理スタッフ
自社でやるべきこととアウトソーシングすることを区分しながら、どう最適化すればよいか。
【着眼点】ルーティン業務・企画業務・マネジメント業務、アウトソーシング、社員のプロフェッショナル化、効率性と効果性の観点、廃止・自動化・簡素化・標準化・集約化による効率化、意思決定のスピード化(組織階層のフラット化)、など‥
「神は細部に宿る」といいます。ジャック・ウェルチも「オペレーションなくして競争に勝てない」と言い切っていいます。
オペレーションの理解を深めるには、やはり製造業を学ぶことが不可欠ですね。
昔、製造業の勉強を集中してやっていた時がありましたが、やっぱり日本の製造業のオペレーションってすごいと思います。
製造業で、「ムリ・ムラ・ムダ」の観点(IE)、生産計画・工程管理・作業管理など全体最適~部分の効率化の追求。ここを押さえてからサービス・小売・物流に展開していくとオペレーションの学びが深まると思います。
しばらく、この分野は製造業を掘
り下げてみます。