MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

習慣の力(チャールズ・デュヒッグ)

『習慣の力』(チャールズ・デュヒッグ)(〇)

 毎日の人の行動の実に40%以上が「その場の決定」ではなく「習慣」。習慣はある時点で意図的に作り、やがて考えなくても毎日何度でも行うようになるもの。要となる一つの習慣に狙いを定め、それがどのようにして起こるのかを理解すれば、自分の好きなようにパターンを作り直すことができる。数多くの学術研究やインタビューをもとにしてまとめられた一冊です。事例が豊富なのですが、書ききれないので、今回はそのうち著者の実例をもとにまとめてみます。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇3段階ループ(習慣を特定する基本フレーム)

①きっかけ ⇒ ②ルーチン ⇒ ③報酬

 

【事例】(著者の実例)

 毎日、午後になるとカフェテリアに行ってチョコチップクッキーを買い、何キロか体重が増えた場合。「もうクッキーは買わない」とPCに貼ったりしても、毎日午後になるとそのメモから目をそらし、ふらふらとカフェテリアに向かい、クッキーを買い、レジのそばで同僚と世間話をしながら食べてしまう。

 

〇変化の枠組み

①ルーチンを特定する

・「きっかけ⇒ルーチン⇒報酬」のループに何が当てはまるのか特定する

・「きっかけ」は何だろう?空腹、退屈、低血糖、違う作業を始める前に休憩をしたいと感じるのか。

・「報酬」は何だろう?クッキーそのものか、気分を変えることか、息抜きをすることか、同僚たちとのおしゃべりか、糖分でのエネルギー補給か?

⇒例の場合、ルーチンは、午後になると立ち上がってカフェテリアへ行き、チョコチップクッキーを買って、食べながら友人たちと話をすること。

 

②報酬を変えてみる

・報酬の力は大きい。報酬がそもそもの欲求を満たすから。どんな欲求が特定の習慣を引き起こすのかを突き止めるためには、報酬を変えてみるとよい。クッキーを買う代わりに何をするかは重要ではない。どのような欲求が、ルーチンとなっている行動に駆り立てているかを見極めるのが目的。

⇒例の場合、クッキーが欲しいのだろうか?休憩したいのだろうか?空腹のためだろうか?(もしそうならリンゴでも構わない)、クッキーを食べてエネルギーが湧いてくる感覚を欲しているのだろうか?(それならコーヒーでも満足できるはず)、カフェテリアに行くのは人に会いたいからでクッキーはその口実なのだろうか?(それなら誰かのデスクに行って数分間おしゃべりをすれば十分だろう)

 このようにして、4つか5つの違った報酬を試せば、パターンを見つけ出す方法が使える。毎日デスクに戻ったあとで、最初に頭に浮かんだ3つのことを紙に書き留める。感情でもいいし、とりとめのない考えでもいい。自分が考えていることや感じていることに気付くことが大切。

 

③きっかけを見つける

・そこに決まったパターンがないか細かく観察する。これを毎日やってみる。次の5つのカテゴリーのどれかに当てはまることが実験で明らかにされている。

1)場所(例:デスクにむかって座っていた)

2)時間(例:午後3時36分)

3)心理状態(例:飽きていた)

4)自分以外の人物(例:誰もいない)

5)直前の行動(例:メールの返事を書いていた)

⇒結局欲していたのは「一次的に仕事を忘れること」だった。友人とおしゃべりすることで得られる種類のもの。

 

④計画を立てる

・引き金となるきっかけ(ルーチンそのもの)が分かったら、行動を変える準備はできた。あとは計画を立てること。

・「きっかけ」を見たら「ルーチン」を行い「報酬」を得る。この公式をつくり替えるためには、もう一度、選ぶことから始めなければならない。

⇒事例の場合、きっかけは午後3時半前後という時間。ルーチンはカフェテリアに行ってクッキーを買って友人とおしゃべりすること。しばらく仕事を忘れて人と世間話をすることだった。そこでこんな計画を立てた。

■「午後3時30分、毎日、友人のデスクに行って10分間話をする」

 忘れないように時計のアラームを午後3時30分にセット。最初はうまくいかず、ついクッキーを食べてしまうこともあり、話をしてくれる友人を見つけるのも一苦労だったが、やがて、これが機械的行動になった。「アラームが鳴る→友人を見つける→仕事が終わったときの小さな達成感を得る」。何週間か経つと、何も考えずこのルーチンを行うようになった。おしゃべりの相手が見つからないときは、カフェテリアに行ってお茶を買い友人と飲んだ。これが習慣になった。

 

 本書では、多くの事例を用いて、「きっかけ⇒ルーチン⇒報酬」のループを特定し、習慣を変えるということが具体的にまとめられています。

 自分を振り返れば、確かに、この習慣は改めたいという習慣化が思い当たります。別のルーチンをいきなり持ってくるのではなく、まず、きっかけ、ルーチン、報酬のループを特定するという前工程を入れてみようと思いました。今まで、いきなりルーチンを変えようと思っていたのは、一足飛びで適切なルーチンが選択できていなかったのかという気づきを得ました。

習慣の力

習慣の力

 

f:id:mbabooks:20170524074111j:plain