『成功することを決めた』(遠山正道)
「あすか会議」(グロービス経営大学院のビジネスカンファレンス)に登壇される、遠山正道さんの書籍を読んでみました。
著者は、Soup Stock Tokyoを展開する(株)スマイルズの代表取締役社長を務めていらっしゃいます。
三菱商事から日本ケンタッキーフライド・チキン出向時に企画し、初出店。その後、三菱商事初の社内ベンチャー企業(株)スマイルズを設立。MBOにより株式を100%取得し、独立されました。
本書は、その軌跡が書かれています。
(印象に残ったところ)
〇企画書「スープのある一日」
KFCの新規事業部に在籍時、Soup Stock Tokyoの企画書を提出。この企画書は、物語風に書かれたもので、本書でも22ページを割いて、全文が掲載されています。お店、商品のコンセプト、事業展開が物語を通じて伝わってきます。
こんな企画書のパターンもあるんだと純粋に驚きました(ここでは説明しきれない内容とボリューム)。この企画書、社内ではバイブルになっているようです。
〇商品開発
著者は個展を開き、アーティストとしても活躍されています。
この経験が商品開発の発想にも活かされています。
(本文より)
「こういうものを描こう」と思って描いたものは、そういうものになる。自分の想像を超えるものにはならない。一方、無心に作業を重ねていったときや、嫌いだった一枚を無理やり合わせてみたときに、「あれっ?」と声を出したくなるような良いものができたりする。それを「抜け感」と呼んでいる。失敗は多くても試作に狂う中で、傑作というものがポロリとできる。
〇個展での成功からの学び
(苦労して初めて個展をひらいた経験が、現業に繋がっている)
・自分自身をさらけ出す
・仲間の協力
・人は人のために惜しみない協力してくれる事実
・皆で公開なく創れたのもは、何のてらいも必要なく、「最高だから」と言えてしまう経験
・行動には、責任が発生すること
〇従業員との距離感(失敗談)
業績不振~立て直し時を振り返って。。。
(本文より)
これまで、「言いたいことがあれば、私を捕まえて、堂々と提案して欲しい。自分もサラリーマン時代はそうしていた」と、信念を社員に伝えてきた。しかし、それは上司との距離が近いとき、あるいは、将来像や仕事に対する考え方を共有しているときにはじめてできることだと気が付いた。現実的には、そこまでの関係に至っていない社員がたくさんいた‥。
Soup Stock Tokyoのイメージは、友人と食事をしているときに突然、降臨したそうです。そのイメージを形にしていくなかで、さまざまなご苦労を経験されていますが、一方で社員とともに創り上げる喜びや達成感が伝わってきました。
たまに利用するSoup Stock Tokyo。次にお店に行ったら、しっかり見てみよう。商品、従業員さん、店舗イメージなど、感じることが変わりそうです。