『アルフレッド・アドラー人生に革命が起きる100の言葉』(解説:小倉広)(〇)
アドラー本は、これで3冊目(『嫌われる勇気』、『アドラー心理学入門』に続き)になりますが、本書が一番分かりやすいと感じました。
見開きで、右ページにアドラーの言葉、左ページに解説というパターンで、解説が平易に書かれているので、スッと入ってきます。
(本書で印象に残った言葉‥本書より)
〇「人は過去に縛られているわけではない。あなたの描く未来があなたを規定しているのだ。過去の原因は解説になっても解決にはならないだろう」
⇒人は未来への目的により行動を自分で決めている。だから自分の意思でいつでも自分を変えることができる(「目的論」「自己決定性」)。
フロイトが「人は過去により規程され、自分で未来の自分自身をコントロールすることはできない」と主張しているのとは対照的。
〇「劣等感を抱くこと自体は不健全ではない。劣等感をどう扱うかが問われている」
・劣等生:具体的事実として劣った性質
・劣等感:自分が劣っていると主観的に思うこと
・劣等コンプレックス:劣等感を言い訳にして人生の課題から逃げ出すこと
⇒劣等感をバネにして「なにくそ」と頑張る人は、劣等感は持っているものの劣等コンプレックスを持っていないと言える。
〇「あなたのために他人がいるわけではない。「〇〇してくれない」という悩みは自分のことしか考えていない何よりの証拠である」
⇒一人ひとりが等しく自分の人生の主人公であり、誰もが等しく中心にいたいと思っている。
〇「叱られたり褒められたりして育った人は、叱られたり褒められたりしないと行動しなくなる。そして、評価してくれない相手を敵だと思うようになる」
⇒ご褒美や褒め言葉で相手を釣る限りは、一生それをやり続けなくてはならない
〇「よくできたね、と褒めるのではない。ありがとう、助かったよ、と感謝を伝えるのだ。感謝される喜びを体験すれば、自ら進んで貢献を繰り返すだろう」
⇒「感謝」は横から目線、「褒める」は上から目線。
〇「他人と比較してはいけない。ほんのわずかでも、できている部分を見つけ、それに気づかせることが重要」
⇒もし正しい例を示したいのであれば、本人の中にある、ほんの僅かであってもできているところを見つけ、それに気づかせることが大切。例え僅かであったとしても、できていることを示し、それを認め、さらに増やすように要望すること。
〇「他者は私を援助してくれる、私は他者に貢献できる、私は仲間の一員である。この感覚が全ての困難からあなたを解放するだろう」
⇒①周囲の人は私を援助してくれる(他者信頼)、②私は周囲の人へ貢献できる(自己信頼)、③その結果として、私は共同体に居場所がある(所属感)。
〇「人は貢献感を感じ、自分に価値があると思える時にだけ勇気を持つことができる」
⇒勇気を失った人は貢献するだけのエネルギーが枯渇している。そんな相手に対して周囲の人間ができる勇気づけは、飛行機のプロペラを手でブルンと回すように、「ありがとう」「あなたのお蔭だよ」と伝えること。それを繰り返すうちに、自分の力でプロペラが回り出す。
〇「人の心理は物理学とは違う。問題の原因を指摘しても勇気を奪うだけ。解決法と可能性に集中すべき」
⇒原因究明は、子供や部下にとってダメ出しにしか見えず、彼らは勇気を失ってしまう。勇気をくじかれた彼らは、困難に挑戦することをあきらめて、課題から逃げ出すようになってしまう。
3冊読んで、ようやくアドラー心理学の要点が掴めてきました(それだけ、これまでアドラーの発想がなかったということです)。
個人の自律を軸に置いている、最後は本人の考え方次第という、個人に厳しい印象です。
取りあえずの取り組みの一歩として、他人に対しては、「褒める」のではなく「感謝」の心で接してみたいと思います。「感謝は横から目線、褒めるは上から目線」という言葉は、シンプルですが結構刺さりました。