第Ⅲ巻「勝者の混迷」は、ポエニ戦争(紀元前264年~紀元前146年)後、富める者と貧しき者が社会正義の公正を求め、権力闘争、内乱を繰り返す。
元老院派VS民主派の対立抗争、奴隷の反乱の時代を、グラックス兄弟の時代(紀元前133~前120年)、マリウスとスッラの時代(紀元前120~前78年)、ポンペイウスの時代(紀元前78~前63年)の3つの時代に分けて描かれています。
第Ⅱ巻がポエニ戦争で華々しかったことに比べ少し落ち着いた本巻。しかし、この60年を理解することは、次巻から登場するカエサルを理解するうえで重要な時代背景となります。
(第Ⅲ巻のポイント‥本書より)
〇主な年表
・紀元前135~前132年:シチリア島で第一次奴隷反乱
・紀元前133年:ティベリウス・グラックス、護民官に就任し農地改革に取り組むが、反対派に殺害される。
・紀元前121年:ガイウス・グラックス、護民官になり兄の遺志を継いで様々な改革に取り組むが、反対派に追い詰められ、自死。
・紀元前104~前100年:シチリア島で第二次奴隷反乱
・紀元前88年:マリウスとスッラ対立。ローマは内乱状態に陥る
・紀元前87年:スッラのギリシア遠征中に執政官キンナとマリウス、ローマを制圧。
・紀元前73~前71年:スパルタクスの乱
・紀元前63年:ポンペイウスによるオリエント制圧完成。地中海をめぐる全地域、ローマの支配下に
〇印象に残った言葉など
・「主権在民」は、それを尊重すればするほど、外部に対して閉鎖的にならざるを得なくなる。
・システムに忠実でありうるのは平時ということになり、非常時には、忠実でありたいと願っても現実がそれを許さないという事態になりやすい。だからこそ、柔軟性をもつシステムの確立が叫ばれるわけだ。