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MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

生きる哲学トヨタ生産方式(岩月伸郎)

 『生きる哲学トヨタ生産方式』(岩月伸郎)

 オペレーション戦略Day5の復習として読んでみました。

 著者は、大野耐一さんや張富士夫さんらの指導を受け、トヨタ自動車取締役、デンソー副社長などを歴任され、現在はデンソーの顧問に就任されています。

 そんな著者が大野耐一さんの教えを振り返った一冊です。

 

(本書で印象に残ったところ)

〇本書をとおした3つのテーマ

①『人間尊重』

 トヨタ生産方式の根底に流れる思想として、「人間の能力への限りない信頼」「人間の尊厳への敬意=人間尊重」がある。

②『造りすぎのムダの徹底的な排除』

 ムダの最たるものは、造り過ぎのムダ。機会損失は、計算上のことだけで、本当の損ではない。「売れるからといって無理してドンドン造り、造り過ぎを止められなくなると、在庫が膨らむ。好況時において山が高くなりすぎると、結局、調整局面で谷が深くなる」

③『品質が最優先』

 「台数が出ないことが問題ではない」「直行率100%ということが必須。100%良品がラインオフしてくること。台数はそのあと」「生産管理部が実績をフォローするときに一番大事なことは品質。計画通りに台数がでないことを気にするべきではない。それは、管理・監督者が心配すること」

トヨタ生産方式のフィロソフィー

・人間の能力への限りない信頼と尊厳への敬意

・徹底した現場主義

・考え抜いて追い込まれたらひっくり返してみる、逆転の発想

・あくなき想像的破壊への挑戦

トヨタ生産方式のコンセプトの骨格

・ジャストインタイム

自働化

メソッドを生み出す考え方

・造り過ぎのムダに代表されるムダの徹底的な排除

・押し込みから引き取りへの逆転、後工程引き取りと後補充生産

・多品種少量(最終的には1個)生産の実現

〇生産計画(大野さんの言葉)

 「お客様のニーズを代弁している販売部門が欲しいと言ってきた台数を極力そのまま生産計画として置け。造るほうは、その計画に一歩でも近づくべく最大限の努力をしていくことが大事で、最初から造る側の能力を勘案して、造れる台数を生産計画で置くなんてことをしてはダメ」

〇あんどん

 工員一人ひとりがラインを止める権利と義務を持っている。

・権利:ラインのスピードについていけなければ、ストップボタンをおしてラインを止める権利がある。

・義務:不良品を見つけたら、原因と責任を問わず、ラインを止める義務を持つ。

→その裏には、一人ひとりの自立性を実現する必要がある。ここに人材育成の意味がある。

〇良品を造る

 不良品を一つでも出ると、不良品をその場で直す、外して捨てるなどいろんなアクションがとられる。結果、生産リズムが乱されるが、そんな現場で効率が上がるはずがない。良品しか造らない、造れない現場でこそ極めて高い効率が実現できる。

〇教育と訓練

 モノづくりの現場では訓練が大事。

・教育:知らないことを新たに教えること

・訓練:知っていることをいかに確実にスピーディに繰り返せるようにするかということ

〇管理と監督

 管理ではなく、監督することが大事(管理者は監督たれ)。

・管理:すでに出来上がったものを適切な組み合わせで配置すること

・監督:社員個々の思考や行動レベルそのものを上げていこう、あるいは備えて行こうとする。すなわち、現場で現地現物を確認しないと状況が把握できない。

〇内製と外製

 外注化の検討時に、大野さんが絶対に決裁しなかったもの。

 「内製よりも安いので外注する」

 →外注のほうが安く作れるのであれば、給料は外注以下に下げてもよいはず。

 →相対的に高い給料をもらっているなら、内製のほうが安くなるように、もっと知恵を出して、考え抜けということ

 →仕事は一旦外に出すと、二度と自分のところに取り戻せない。

〇人材育成(経営再建を経験して学んだこと)

①若手を信頼して任せ、挑戦させることは、非常に大事

②「こうやれ、ああやれ」と細かくやり方まで指示するのではなく、欲しい結果だけをズバット要求することが大事

③必死になり、無我夢中になれば、世の中のことはたいがい何とかなる

 

 「ムダの徹底的な排除」と対を成す、「人間の能力への限りない信頼」「人間の尊厳への敬意」という哲学。

 仕組みを支える人。この「人」を信じ続けられる(信じざるを得ない?)一貫した考え方が従業員の考える姿勢や知恵を引き出し、組織風土を作り、それが様々なカイゼンにつながっているのだと感じました。

 「えっ、そんなうまくいくわけないでしょ?」とみんなが思うところを実現しているからこそ、競争力を生んでいるのでしょうね。

 トヨタ生産方式を人の面から勉強してみると面白いと思いました。

www.amazon.co.jp

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