『異業種競争戦略』(内田和成)
銀行VSコンビニ(セブン銀行)VS流通(イオン銀行)、CD販売VS音楽配信(iTunes)、資生堂VS花王(シャンプー)、マイクロソフト(office)VSグーグル(ビジネスソフト)‥
ボストンコンサル出身で早稲田大学ビジネススクール教授を務める著者が、環境変化(経済の成熟化、ITの発達)に伴い増加しつつある業界を越えた競争に着目した戦略本です。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇異業種競争(定義)
異なる事業構造(コスト構造、販売形態、儲けの仕組み)、事業目的を持つ企業同士が、異なるルールで同じ市場を奪い合うこと
〇【着眼点1】どんな競争相手が出てくるか、どこに着目して進出するか
バリューチェーンを考える(カメラ業界の場合)
①他の機能に置き換えられないか
・フィルム→メモリーカード
・カメラ→デジタルカメラ→カメラ付携帯
・取次店・現像所→ミニラボ→家庭用カラープリンター
②省略できないか
・現像→×
・焼き付け→×
③束ねられないか
・フィルム+カメラ→レンズ付きフィルム
・取次店+現像所→ミニラボ
④選択肢を広げられないか
・撮った写真の鑑賞、保存→シェア、フォトアルバム
⑤追加できないか
・メール送信
〇【着眼点2】どんな戦いになるか
ビジネスモデルを考える(中古車販売の場合)
①顧客に提供する価値
これまでの中古車買取に不満を抱く一般消費者に透明度の高い価格付け・査定・高額買取を提供
②儲けの仕組み
利益=市場価格ー買取価格=実質手数料
③競争優位性の持続
市場価格の査定能力、ガラス張りの価格付け、全国展開によるスケールメリット
〇ルールをつくるステップ
・ステップ1:どこにチャンスや驚異があるか(事業連鎖の再構築)
・ステップ2:敵を知り、己を知り、顧客を知る(競争環境の再認識)
・ステップ3:事業連鎖の中でどう稼ぐか(ビジネスモデルの確立)
・ステップ4:敵を自分の土俵に引きずり込む(新しいルールの確立)
業界を超えた競争は、仕掛けるほうからみると、戦略を検討する際に業界常識にとらわれない発想で考える際の切り口として面白いと思いました。
一方、他業界から競争を仕掛けられたほうは、予期せぬ攻撃であり、防御するという観点では難しい問題を残していると思います。