MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

外資系投資銀行のエクセル仕事術(熊野整)

 『外資投資銀行のエクセル仕事術』(熊野整)(〇)

 これは実務ですぐ使える!という一冊。個人としてのスキルアップもさることながら、チームの生産性×品質の両面を底上げすることに焦点があてられており、とても実用的です。私もすでに使わせていただきました。

 投資銀行出身の方の指南書だから難しいか?と思ったら、全然難しくなく、むしろ、とても分かりやすく書かれていて素晴らしいです(関数などのややこしい計算式も一切ありません)。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

Excelをめぐる社内トラブルや苦手意識 

 Excelの基本ルールをつくり、徹底されていないことに尽きる。

 投資銀行ではExcelのフォーマットに徹底的にこだわっている。正しいフォーマットを徹底することは計算ミスを減らし、分析内容の理解度を上げ、顧客に信頼される基本になる。

 

〇基本ルール

①行の高さは「18」

 上下のゆとりができて見やすい

②フォントは、英数字は「Arial」、日本語は「MSP」ゴシック

 Arialは、文字の太さが均一で見やすい

③お金の単位は千刻み(千円、百万円、十億円)、カンマは必ず付ける

④項目の内訳は、一列横にずらす

⑤A列は幅「1」で空欄に、最後の1列は幅「3」で空欄に

 A1のセルから書き始めず、B2のセルから書き始める(罫線を確認するため)

⑥罫線

・異なる太さでメリハリ(最上部と最下部は太めの線、表の真ん中は細い破線)

・原則縦線は必要ない(文字を右揃え、左揃えすることで対応)

・不要な線は必ず消す

⑦数字が入っている列のタイトルは右揃え

⑧数字の色を変える(後から「いじる=シミュレートする」セルを特定する)

・青:べた打ち‥手入力で変えるところ

・黒:計算式‥変えないところ

・緑:他のシートを参照するところ

→計算式とベタ打ちは混在しない(=40+B3)‥分かりにくくミスを生じやすい

⑨重要な箇所は背景の色を変える(薄めの色)

 

〇計算のチェック

・計算している時間=計算チェックしている時間を意識

・複数いるときもExcelで計算する人は1人に決める(手分けはミスのもと)

・チェック係りは直接Excelシートを修正せず、計算担当者にフィードバックして、修正させる。

 

〇スピードアップのために

・みんなで同じフォーマットを使うこと(既述のとおり)

・よく使うショートカットキーを覚えること

 →投資銀行の入社時にロンドンで3週間の研修が行われたが、その時間の多くはExcelの使い方。ショートカットキーを50個くらい記載したシートが配られ、暗記させられた。そのくらい重要ということ。

 

 本書の最後に、①フォーマットのポイント、②ショートカット集(27種類)が各1ページにまとまっており、これだけでも十分価値ありです。

 カネ系の授業では、Excelが欠かせません。本書を読みながらすぐに試したくなって実際にやってみましたが、少し見やすくするだけで、随分ストレスが軽減されるものだなと実感しました。

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