『NO LIMIT』(栗城史多)
あすか会議2015(第四部分科会)に登壇される、栗城史多さんの著書を読みました。
著者は、1982年生まれのプロ登山家。動画配信の機材を持っての、単独・無酸素での登頂にこだわり、エベレストに四度アタック。2012年秋季エベレスト西陵挑戦時に重度の凍傷を負って、手の指9本の第二関節から先を失うも、2年の治療・リハビリを経て2014年7月にブロードピーク(8047メートル)に登頂成功され、2015年の秋季エベレストに再び挑戦される予定という、まさに超人です。
栗城さんの著書では、『弱者の勇気』(2014年発行)に続く2冊目になりますが、こちらは、凍傷を負われる前の2010年発行。トーンも雰囲気も違うように感じました。
2010年の本書は山に対峙する自分との戦い、2014年の『弱者の勇気』は生きることに対する自分との向き合い方が文面に表れているように感じました。
どちらの本も素晴らしい自然の美しさが表現された写真が多数掲載されており、写真集&エッセイという内容です。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇命を懸けても叶えたい夢
自分が見た素晴らしい景色と世界中の人たちの心を結びたい。
本当は、誰もが行きたいところに行ける。やりたいことができる。そういうもんだということを、一人の男が泣いたり笑ったりする姿を通して感じてもらいたい
〇不可能
登頂に成功すると、自分の心にあった壁が崩れた。不可能は自分が創り出しているもの。可能性は、自分の考え方次第で、無限に広がっていく。
〇苦しいとき
苦しみに対して「ありがとう」。一人で山と対話をしながら登っているうちに、自然とその言葉が出るようになった。すべての苦しみは受け入れることから始まる。受け入れることで、新しい力が湧いてくる。反対に、「ちくしょう」と大声を出したりすれば、力が奪われる。
〇やる気のスイッチ
自分がワクワクするしかない。そのためには、自分ができないと思うことを目標にすること。できることに挑戦しても本当の力は出てこないし、本当の楽しみを知ることもできない。
〇欲するとき
高い山は酸素が少ない。酸素が少ない時は吐けばいい。吐けば入ってくる。自分が出そうとしないと入ってこない。欲しい、欲しいってやっていると入ってこない。何か欲しいときは、自分から吐くこと。そして与えること。自分が吐き与えることで、酸素も喜びも入ってくる。
162cmの体にどれだけのパワーがみなぎっているのか。こうした方を間近で感じられるのがあすか会議の魅力。普段、接することができない世界の方ですので、この貴重な機会にできるだけ多くのことを感じてみたいと思います。栗城さんの著書は、あと1冊購入済みなので、こちらも読み進めます。