『大学・中庸』(金谷治 訳注)(〇)
企業家リーダーシップで田久保講師からご紹介いただいた古典です。「二宮尊徳が小学生くらいの年齢から読んでいた・・」という言葉に興味をそそられました(その後、徳川家康も6~7歳の頃にはすでに学んでいたことを知りました)。
今回は、まず、四書・五経の中でも最初に読むと良いとされる「大学」を読んでみました(「中庸」は最後に学ぶと良いようです)。
構成は、第一章が総論、第二章以下で各論を解説する形が取られています。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇第一章(総論)
・大学の総仕上げとして学ぶべきことは輝かしい徳を身に付けてそれを輝かせること
・民衆が睦み合うように、親しみあるようにすること
・いつも最高善の境地に踏みとどまること
・優先順位がわかれば、それでほぼ正しい道を得たことになる
・天下(世界)を治めるための順序
天下>国>家>わが身>自分の心>自分の意念(おもい)>自分の知能>物事の善悪を確かめる
物事の善悪を確かめる→知能が明晰になる→意念が誠実になる→心がただしくなる→一身がよく修まる→家が和合する→国がよく治まる→天下が平和になる
・わが身を修めることを根本とし、根本を知りぬくことが知の極み
〇第二章「自分の意念を誠実にする」
・自分で自分をごまかさないこと
・「人の君」‥仁愛の徳に止まってそれを標準とする
・「人の臣」‥敬慎の徳に止まってそれを標準とする
・「人の子」‥孝行の徳に止まってそれを標準とする
・「人の父」‥慈愛の徳に止まってそれを標準とする
〇第三章「わが身をよく修めるには、まず自分の心を正すこと」
・心がしっかりと落ち着いていないと、何かを見てもはっきりとは見えず、何かを聞いてもはっきりとは聞こえず、何かを食べてもその味が分からない。
〇第四章「その家を和合させるには、まずその身をよく修めること」
・好きな相手でも同時にその欠点をわきまえ、嫌いな相手であっても同時にその長所をわきまえる人は世界中でも稀。
〇第五章「その国をよく治めるには、必ずまずその家を和合させること」
・家族を教化することもできないのに、国民を教化できることはあり得ない。わが身の内にあるものによって他人を思いやるということをしないで、他人うまく納得させたという人は、あったためしがない。
〇第六章「天下を平和にするには、まずその国をよく治めること」
・君子には身近な一定の規準をとって広い世界を推しはかるという方法がある。
・徳が根本であって、財物は末端。根本をなおざりにして末端に力を入れたりすると、民主を利のために争わせて、奪い合いを教えることになる
・上に立つ君主が仁政を好んで施行しているのに、民衆が道義に向かおうともしないことは、あったためしがない。
天下を治める君子論といったところでしょうか。「天下国家の政治もその根本は一身の修養にある」。まずは自分から。過去の偉人と比べて早いか遅いかは問題ではない。気づいたときから一身の修養に取り組んでみよう。
「徳」って一体何なのか。ここをもう少し深堀りして見たくなりました。