MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

アドラー心理学入門(岩井俊憲)

 『アドラー心理学入門』(岩井俊憲)(〇)

 『嫌われる勇気』、『人生に革命が起こる100の言葉』など、アドラー心理学に関する著書を数冊読んでみて、「イマイチポイントが整理できない・・」と感じていたので、平易に書かれている入門書にレベルを引き下げてみることにしました。

 本書は、アドラー心理学の要点をコンパクトにまとめた内容で、図も多く、視覚的にも理解しやすい内容です。最初の1冊として手頃だと思います。

 

(まとめ‥本書より)

アドラー心理学の5つの理論

①自己決定性:自ら運命を想像する力がある

②目的論:人の行動には目的がある

全体論:心と身体は結びついている

④認知論:主観的な捉え方で物事を把握している

⑤対人関係論:すべての行動には相手役がいる

 

〇勇気づけ(困難を克服する活力を与えること)

勇気とは・・

①リスクを引き受ける力

②困難を克服する努力

③協力できる能力の一部(他者と協力しあう)

 

〇共同体感覚(家族・地域・職場などの一員であるという感覚)

・仲間の興味に関心を持つ

・所属グループの一員だという感覚を持つ

・積極的に仲間の役に立とうとする

・関わる人とお互いに尊敬・信頼しあっている

・進んで協力しようとする

 

アドラーフロイト

アドラー

①人間は社会的存在(所属欲求)

②人間行動の「目的」を理解

③人間は分割できない「全体」

④人間精神は合理的

⑤個人と社会は調和する

⑥人間を援助しようとする

 

フロイト

①人間は動物的存在(本能)

②人間行動の「原因」を理解

③人間は「部分」の集合体

④人間精神は不合理

⑤個人と社会は対立する

⑥人間を理解しようとする

 

〇劣等

・劣等性:身体の器官が客観的に見ても劣等である事実

・劣等感:主観的に、自分のどこかが劣っていると感じること

・劣等コンプレックス

 自分が劣等であることをひけらかして、人生で取り組まなければならない課題を避けようとすること

 

〇ベイシック・ミステイクス(ゆがんだ発想で周囲と摩擦を生じる考え)

①決めつけ:「あの人は私を嫌いに違いない」

②誇張:「周りの人はいつも私のすべてを否定する」

③見落とし:「(うまくいった部分もあるのに)全部失敗した」

④過度の一般化:「どれもこれもダメだ」

⑤誤った価値観:「失業した私は、生きていても仕方がない」

 

〇ゆがんだ思い込みから抜け出す方法

①「本当にそうなの?」と疑う

②「あ、またやってしまっているな」と自覚する

③「こうすればどうだろう?」と建設的に考える

 

〇怒りは二次感情

 怒りの根底には、不安・寂しさ・悲しみ・不安・落胆などの一次感情が潜んでいる

 

〇良い人間関係を築くための姿勢

①尊敬、②信頼、③協力、④共感、⑤平等、⑥寛容

 

〇聞き上手になるためのポイント

①きちんとした姿勢

②節度ある態度

③相手との関係に合わせた距離

④話題に合った表情

⑤視線は相手ののどから胸(目を見過ぎると緊張させる)

⑥相手の話の腰を折らず、あいづちを打つ

⑦相手の話を引き出す質問をする

⑧話の要点を相手に確認する

 

〇褒めるはときに逆効果に

・相手を評価するような態度、上から目線のメッセージになる

・褒められないとやらない人になってしまう可能性がある

 

〇人間関係でもめてしまった時の対処法

①本質的な問題か瑣末な問題かに分けて捉える

②事実と意見を分けて捉える

③「最悪の事態はまずない」と開き直る

④怒りの感情をコントロールする

 

〇失敗の受け止め方

・チャレンジの証

・学習のチャンス

・再出発の原動力

・大きな目標へ取り組んだ勲章

・次の成功のタネ

 

 アドラー心理学の中でも、特に、目的論と自己決定性は、共感できる考え方でした。流行りで読んであまり理解できなかった、『嫌われる勇気』も今読めば、理解が深まりそうです。これから、少しアドラー心理学の勉強を深めてみたいと思います。

人生が大きく変わる アドラー心理学入門

人生が大きく変わる アドラー心理学入門

 

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