『自分の小さな「箱」から脱出する方法』(アービンジャー・インスティチュート)<2回目>
2006年に発売になり、ベストセラーとなっている本書。自分本位で身勝手な思考に陥ってしまっている状況を「箱に入っている状態」と捉え、このとき人はどんな思考になり、どいうふうにすれば、この箱から脱出できるのかを物語仕立てで解説しています。続編を読むにあたり、まずは本書を読みなおそうと思い、約4年ぶりに読んでみました。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇自己欺瞞
えてして問題がある人物自身には、自分に問題があるということが見えなくなっている。組織が抱えている様々な問題の中でも、これは最もありふれていて、もっともダメージが大きい。自己欺瞞、あるいは箱。これこそが大問題。
〇いっそ認められないほうがマシ
人間は、相手が自分をどう思っているのかを感じることが出来る。これがポイント。自分が相手から、何とかしなくてはならない問題とみなされているのか、操られているのか、策略を巡らされているのかが、わずかな時間で分かってしまう。偽善だって嗅ぎ付けられる。見せかけの親切の下に隠れている非難を、感じ取ることもできる。そして往々にして、そういう相手の態度を恨めしく思う。
〇組織における人間関係の問題
人間というのは、常に他の人々に対して、箱の中にいるか外にいるかどちらかである。箱の中に入っていようと外にいようと外から見た行動は変わらないが、他の人々に及ぼす影響は大いに違ってくる。組織における成功は、その人が箱の中にいるか外にいるかによって決まり、リーダーとしての影響力も、やはり箱の中にいるか外にいるかによって決まる。
〇自分への裏切り
①自分が他人のためにすべきだと感じたことに背く行動を、自分への裏切りと呼ぶ。
奥さんや子供に手を貸してあげなきゃと感じながら手を貸すのをやめたとき、誰かに謝らなくちゃと思ったのに謝らなかったとき、自分が同僚の役に立つ情報を持っていることに気付きながら黙っていたとき・・。
②一旦、自分の感情に背くと、周りの世界を、自分への裏切りを正当化する視点から観るようになる。
③周りの世界を正当化する視点から観るようになると、現実を見る目がゆがめられる。
④したがって、人は自分の感情に背いたときに、箱に入る。
自分の感情に背いたとき、箱に入り、自己欺瞞を行う。自己欺瞞を正当化するものの価値を課題に評価する。箱の中に入ると、感情面でも相手を責めるようになる。『あんたがイライラさせるから、私はいらつくんだ。あんたが怒らせるようなことをするから、私は怒るんだ』
⑤時が経つにつれ、いくつかの箱を自分の性格とみなすようになり、それを持ち歩くようになる。
⑥自分が箱の中にいることによって、他の人たちをも箱に入れてしまう。
相手を責めることで、相手が箱に入るように仕向ける。一方相手は、自分のことを不当に責めていると言って、私を責める。ところが私は箱に入っているものだから、自分が相手を責めるのは当然だと思っている。
⑦箱の中にいると、互いに相手を手ひどく扱い、互いに自分を正当化する。共謀して、互いの箱の中にいる口実を与えあう。
こっちを責めるなんてお門違いだと感じ、さらに相手を責める。相手も既に箱の中に入っているから、攻められて当然なのは私であって、そのことで自分が責められるなんてとんでもないと感じ、さらに私を責める・・。
〇箱の中にいるときに、しても無駄なこと
①相手を変えようとすること
箱の中にいると、自分が変えようとしているものをさらに強めることになってしまう。だから、相手を変えることで箱から出ようとしても、結局は箱の中に留まる理由を相手から与えられることになる。
②相手と全力で張り合うこと
張り合うというのは、相手を変えようとするのと同じくらい、防御的な行動。これもやはり、相手を責めることになる。
③その状況から離れること
それだけでは十分ではない。箱の中にいる場合、その状況から離れるというのは、相手を責める別の方法にすぎない。箱の中に入ったままで、相変わらず偽りの感情が付いて回る。
④コミュニケーションを取ろうとすること
箱の中にコミュニケーションが上手であろうとなかろうと、こちらに箱があることが、相手に伝わってしまう。そこが問題。
⑤新しいテクニックを使おうとすること
様々なテクニックがいくら有益なものであっても、箱の中で使っている限り、役には立たない。それどころか、相手を責める、さらに巧妙な手口になってしまう。
〇箱の外に出る
『どうすれば箱の外に出られるのか』という質問は、2つに分けることができる。第一に『どうすれば箱の外に出られるのか』、その次に、『どうすれば、一度出た箱の外に居続けられるのか』。誰かに対して箱の外に出たいと思ったその瞬間、もう箱の外に出ている。なぜなら、相手を人間として見ていればこそ、外に出たいと感じることが出来るもんであって、人間に対してそういう感情を抱けるということは、すでに箱の外に出ているということ。
「箱」シリーズは、本書の挿絵を見ると、イメージがじわっと湧いてきます。箱の中(自分本位の考え方)にいると、結局何をやっても自己正当化に向かってしまう。コーチングでいう「俯瞰目線」が求められる場面。「今箱に入っているかな?」ということに気付いたとき(相手はどう思っているかなという発想になったとき)、自体は変わっていくのかなと思います。「箱」シリーズ、続編に続きます。
- 作者: アービンジャーインスティチュート,金森重樹,冨永星
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2006/10/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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