『OPTION B』(シェリル・サンドバーグ、アダム・グラント)
『リーン・イン』がベストセラーになった、Facebook COOである著者。本書は一言で言えば、「レジリエンス」をテーマとしています。2015年にパートナーが亡くなられたところから始まり、その後の心境変化、著者の経験や著者が参考にした言葉などがまとめられています。モヤモヤしたり、立ち直りたくても立ち直れなかったり、、そんなに簡単に人は立ち直れないけれど、それでも前に進んできた著者の心境がリアルであり、それゆえに、引用されている言葉などにも重みがあります。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇次にどうするか
配偶者を亡くした人の半数以上が、6カ月後には心理学者が「鋭い悲嘆」と呼ぶ段階を脱している。悲嘆はありのままに受け止めなくてはいけないが、どれだけ早く虚空を通り抜けられるか、その過程でどのような人間に成長するかは、自分の信念と行動次第でコントロールできる。
〇苦難からの立ち直りを妨げる3つのP
3つの観点に気づけば立ち直りが早くなる。
①自責化(Personalization)⇒自分のひとりのせいではない
②普遍化(Pervasiveness)⇒すべてではない
③永続化(Permanence)⇒ずっとではない
「けっして」「ずっと」のような言葉は、永続化のサイン
〇誰もが見て見ぬふりをしている問題(ゾウの存在)
ゾウは存在を認めなければ、いつまでも付きまとってくる。いちばんよいのは相手の気持ちを理解し、そのまま受け止めること。「おつらいですね、いつもそばにいますよ」と、文字通りいう。
〇行動を起こす
「何でもする」なんて言っている暇があったら、なんでもいいからとっとと行動を起こそう。具体的な行動がなぜ助けになるかと言えば、問題そのものを解決しようとせず、問題が引き起こしたダメージに対処するから。人生には解決できない問題もあり、そういう問題は抱えて生きていくしかない。
〇リングセオリー
悲劇の中心人物の名前を紙に書いて、円で囲む。その周りに一回り大きな同心円を書き、悲劇から2番目に大きな影響を受けち得る人の名前を中に書く。こうしてできたものが「嘆きの順序」。リングのどこにいる人も、内側の円に助けを差し伸べ、外側の円に助けを求めていい。
〇恥と罪
自分の人格ではなく、言動を責めるよう心掛けると、恥ではなく、罪の意識を持てるようになる。罪の意識は「尽きることのない贈り物」。罪の意識をなかなか振り払えないからこそ、私たちはより良い人間になろうと努力し続ける。罪の意識があるからこそ、過去の過ちをつぐない、次はより良い選択をしようという気になる。恥の意識は、これと正反対である。恥の意識を持つと自分はちっぽけで取るに足らない存在だと感じ、怒りに任せて人を攻撃したり、自己憐憫におぼれて自分の世界に引きこもったりする。
〇ラベリング
ネガティブな感情にはラベルをつけると対処しやすくなる。ラベルは具体的であればるほどいい。「最悪な気分だ」のような曖昧なラベルより、「ひとりぼっちでさびしい」のほうが感情を処理しやすい。感情を言葉に置き換えることで、その感情を「自分がコントロールしている」という感覚が得られる。
〇役立てたこと
感謝できることを数えても自信ややる気は高まらないが、「役に立てたこと」を数えることにはその効果がある。なぜなら、感謝は受身だから。自分がしてもらったことに対して感じるのが感謝。これに対して、人の役に立つのは自発的な行動。だから自分が誰かの力になれたことを思い返すと、自信が高まる。
〇トラウマ後の5つの成長
①人間としての強さを自覚する
②感謝を深める
③他社との関係を深める
④人生により多くの意味を見出す
⑤新たな可能性を見出す
〇レジリエンスを育てる
4つの核となる信念を持てるように手助けする。
①自分の人生は自分である程度コントロールできる
②失敗から学ぶことができる
③自分はひとりの人間として大切な存在である
④自分のために役立て、他人と分かち合うことのできる強いが自分にはある
この本を執筆することが著者にとっては大きな区切りだったのかなと思いました。そのくらい、著者のパートナーに対する想いが溢れています。リングセオリーは、初めて知りましたが、これはシンプルで、実際に役立ちそうなツールになりそうです。
OPTION B(オプションB) 逆境、レジリエンス、そして喜び
- 作者: シェリル・サンドバーグ,アダム・グラント,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2017/07/20
- メディア: 単行本
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