『ブルー・オーシャン戦略を使いこなす』(古田靖、監修:米山茂美)
本書は、『ブルー・オーシャン戦略』の入門書的な感じで、図表・チャートを多用して易しく解説しています。なるほど、ブルー・オーシャン戦略とは、こういうステップで考えていくのかという思考の流れを整理するのに適した一冊でした。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯ブルー・オーシャン戦略における分析手順
①自社や自社製品・サービスの現状を知る
■戦略キャンバスの作成
・顧客が重視する価値の見える化
・横軸にインデックス(項目)、縦軸にそれぞれの数値(買い手から見た価値の高低)を記したチャート
・インデックスの増減+既存のインデックスの価値の増減=価値曲線の変革
■価値曲線の記載
・戦略キャンバス上で自社や競合他社が提供する価値体系の軌跡。
・戦略キャンバスに自社と他社の既存製品・サービスの評価をプロットする。
②市場を見つめ直し、新しい価値の創造を目指す
■6つのパスを用いて新たな市場を生み出す新しい価値を見出す
・大きな視野から市場をとらえ直す
1)代替材・代用剤との競争を見渡す
2)業界内の戦略グループを見渡す
3)顧客を多元的にとらえる
4)補完財・補完サービスの取り込み
5)機能・感性の両面への注視
6)環境変化のインパクトをとらえる
・製品・サービスの形態、機能(効用)、目的の3ファクターが共通するとレッド・オーシャン。代替品と代用品に注目することで、競争をとらえ直す。
・顧客を、使用者・購入者・影響者の3つの側面から見る。
⇨より細かく、発案者、影響力保持者、購買決定者、購買者、使用者、享受者の6つの視点に分けても良い。
■買い手の効用マップ
・縦軸には効用を生み出すテコ
顧客の生産性、品質・信頼性、利便性・シンプルさ、安全性・リスク、楽しさや好ましいイメージ、環境への配慮など
・横軸には顧客経験のステージ
購入、配達・納品、使用準備、使用、併用、保守管理、廃棄など
・未実現の部分が明確になれば、そこが自社の商品・サービスの新しい価値のポイントになる。
③付加価値とコストのバランスの検討
■フォーアクション・フレームワークをもとに、アクション・マトリックスを作成
1)付け加える
2)増加させる
3)取り除く
4)減少させる
・「付け加える、増加させる」と「取り除く、減少させる」を両立させる
◯脱セグメンテーション
①第1グループ
必要なときにだけ市場の中に入り、その消費は必要最低限。他製品・サービスへの移動も激しいが、明確な価値を打ち出せば深い掘り起こしが可能となる。
②第2グループ
自らの意思としてその市場の製品・サービスを利用しないと決めている層。なぜ「ノー」を唱えるのか理由を徹底的に探ることで、需要喚起が可能となる。
③第3グループ
その市場の製品・サービスについて、利用の検討さえもしない非顧客層。ターゲットとも、潜在顧客とも考えられていないが革新的な価値の発生で掘り起こしが可能。
◯模倣困難性
①発想の乖離
模倣しようとしても発想や考え方が理解できないため、模倣できない(模倣しても結果が出ない可能性が高い)。
②市場規模の困難
ブルー・オーシャン戦略に基づいた製品が出ても、初めは小さい市場であることが多く、参入で共倒れしてしまう。
③除去・滅失の困難さ
既存製品では当然含まれていたはずの価値、あるいはブランドイメージ減退を恐れ、模倣へと進めない。
④その他の模倣困難性の設計
1)資源
特許、製造ノウハウ、顧客対応力、ブランド、補完的資産の確立と体系化
2)戦略
経験効果、規模の経済性、戦略的資源の占有、スイッチング・コストの設計(ポイント生、初期負担の設定、本体と付属品・消耗品の分離・分割、習慣化)
◯柔道戦略(他社の持つ強みや資産を弱みに変え負債化させる)
・ジョンソン・エンド・ジョンソンの歯ブラシ「リーチ」
ライバル企業にとって、小さいヘッドの歯ブラシが歯磨き粉の売上減少に繋がることを恐れ、容易にJ&Jを模倣できなかった。
・Dellの「PCダイレクトモデル」
それまでのPC販売は、流通業者に依存することで発展・拡大してきたため、すぐに直販体制を模倣することができなかった。
大手文具メーカーも、アスクルと同様のモデルを目指したが、すでに築かれた提携小売店をもとにした流通体制ゆえに対応が遅れた。
◯社内の4つのハードル
①意識のハードル
・売上は、あるとき突然、爆発的に伸びる瞬間がある(ティッピング・ポイント)
・大きな影響力を持つ要因・人物(ティッピング・ポイント・リーダー)を見つけ出し、それをテコに戦略を駆動させる。
・意識を変えるには、「悩む現場」を見せること。
②経営資源のハードル
・重点領域
重点領域を見定めたら、非重点領域から経営資源を振り向け、引き揚げを行う。
・資源交換
余剰、あるいは不足している経営資源を融通しあって、経営の効率化を図る。
③社員の士気のハードル
・中心人物(ティッピング・ポイント・リーダー)への接近
・金魚鉢のマネジメント
金魚鉢のように、周囲からリーダーの動きが見える状況を作る。
・目標の細分化
④政治的障害のハードル
・アドバイザーの獲得
注意すべき人物・事柄の的確なアドバイス。
・守護神を見つけ出す
戦略の実践によって、得をするのが誰かを考える。
・大敵を沈黙させる
大敵は、誰が損をすることになるのかを考えて見つけ出す。
ブルー・オーシャン戦略を自分に当てはめたらどんなことが描けるのだろうか。少し前から気になり出しているテーマ。だんだんと自分がやりたいことが明確になるにつれ、自然とそういう疑問・発想が湧いてきた感じです。自分だけのブルー・オーシャン、模倣困難性って作りたいし、言語化しみたい。これは壮大なテーマです。
ブルー・オーシャン戦略を使いこなす―戦略の組立てから実践まで
- 作者: 古田靖,米山茂美
- 出版社/メーカー: TAC出版
- 発売日: 2009/03/01
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