『ウェイマネジメント』(グロービス)
強い企業、強い経営、ブレない経営には自社らしい、自社の価値を追求する企業理念がある。本書は、グロービス経営大学院がウェイの明文化について詳しく述べた一冊。理念を現実化させるウェイ(行動指針)の作成から浸透までのプロセスがストーリー仕立てで、詳しく記載されています。また、ジョンソン&ジョンソン、トヨタ、キーエンス、Google、パタゴニア、Panasonic、ファーストリテイリング、リッツカールトンなどのウェイが紹介されていて、こちらもとても参考になります。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯言葉の意味
ウェイは、経営理念と行動指針を包含したもの、あるいはこの両者のエッセンスを含みながら両者を接着剤のように結びつけるもの。
①ビジョン
企業が目指す具体的な目標・像。
「◯年には、売上◯億円を実現し、◯◯の分野で世界ナンバーワン企業となっている」
②ミッション
企業が責任を持って成し遂げたいと考える任務。使命。
「社会に対しては◯を、顧客に対しては◯を提供し続ける」
③経営理念
企業が依って立つ信念や哲学、経営姿勢を表明したもの
「常に新しい価値の創造に挑戦し、ビジネスにおける新機軸を打ち出す」
④行動指針
従業員に、こういうった行動をとって欲しいと考える基本的な方向性
「強烈な願望を胸に抱く」「誰にも負けない努力をする」
⑤組織文化
構成員の間で共有された価値や意識、あるいは習慣化した行動の集合体
「争いごとは避ける」「品質とスピードだったら、品質にこだわる」
◯ウェイ作成の流れ
①作成プロセスの設計
②ウェイ策定メンバーの選定
・誰が作ったかという事実が受け手に与える影響を考慮する。
・策定のアプローチに即した力量を持った人選
・作った後の展開を想定した人選
③策定メンバーのコミットを高める
④残すもの捨てるものを判断する
・振り返る際の留意点
1)事実に基づいて考える
2)進行を優先せずにメンバーの納得形成に時間をかける
⑤文言に落とし込む
・これまで大切に培ってきた「考え方や判断・行動の基本」を言葉に落とす
・こうありたいというあるべき姿としての「考え方や判断・行動の基本」を定める
・曖昧なビジネス用語に注意する
より具体的にするためには、「具体的にいうと」「例えばの例を挙げると」「小さく分解すると」「事実に基づいて正確に言うと」などの質問をすること。
⑥ウェイの浸透
・「認知→理解→行動→定着」のフレームの活用
企業理念が掲げられていても、理念を唱和しても、実際のビジネスの現場で理念に沿った行動や判断ができるかどうかは、また別もの。理念と実務ベースをどう繋げていくのか。それには、繰り返し繰り返し、抽象の理念と、具体の現場を行ったり来たりすることが大切なのだなと思います。理念浸透を図っていきたいという方(そういう役割、ミッションを背負っている方)には参考になる内容だと思います。