『センスは知識からはじまる』(水野学)
グロービス経営大学院の学事行事である「あすか会議」に登壇予定のクリエイティブディレクター水野学さん(くまモンのデザイナーとして有名)の書籍を読みました。
センスって持って生まれたもの?
いえいえ、センスはやるべきことをやり、必要な時間をかければ、誰にでもてにはいるもんなんです!という著者の考えがまとめられた1冊。
(本書で印象に残ったところ)
〇美術というのは立派な学問。
日本の美術教育は、学科と実技のうち、実技にウェイトを置きすぎるあまり、美術は学問ではない誤解を生じている。美術の知識が欠落するとコンプレックスを抱くようになり、センスという言葉へ恐怖心が育ってしまう。
〇「センスが良くなりたいのなら、普通を知るほうが良い」
普通を知る唯一の方法は、知識を得ること。センスとは知識の集積である。
〇センスに自信がない人は、自分は、実はいかに情報を集めていないか、自分が持っている客観情報がいかに少ないかをまず自覚すること
〇知識は紙、センスは絵
紙が大きければ大きいほど、そこに描かれる絵は自由でおおらかになる可能性が高くなる。
〇アッと驚く企画割合(割合は著者のイメージ)
①誰も見たことのない、あっと驚くヒット企画(2%)
②あまり驚かない、売れない企画(15%)
③あまり驚かない、売れる企画(20%)
④あっと驚く、売れない企画(63%)
→④はコアターゲット以外の社会に求められない。
③に注目すべし。アッと驚かないものを知っていればいるほど、クリエイティブの土壌は広がる。「あっ!」より「へぇ~」にヒットは潜んでいる。
〇効率よく知識を増やすコツ
①王道から解いていく
王道(既に最適化されている)を考えることで、そのジャンルの製品を最適化する指標ができる。王道が見つかるまでに数多くの王道とは認定できないと判断したものも重要な知識になる。
②流行りのものを知る
コンビニの棚に並ぶ、ありとあらゆる雑誌を手に取ってみる。複数読むうちに流れが見えてくる。
③共通項や一定のルールが無いかを考えてみる
知識を集めるというより、分析したり、解釈することで、神成の知識に精製するプロセス。
④③の結果から、疑問を見つけ、なぜだろう?と考える
⑤仮説を導く
⑥結論(具体的な打ち手)に結び付ける
〇デザインを構成する要素
①色:隣り合う色に注意、②文字:歴史的知識が役立つ(文字には歴史がある)、③写真や絵、④形状
〇「感覚的にこれが良いと思うんです」は禁句。
〇書店での過ごし方
①自分の興味のある本屋や雑誌を見る
②店内を無作為にうろうろし、目に留まった本を手に取る
(一瞬でも気になったものは何か理由がある)
〇不勉強と思い込みはセンスの敵。自分の枠組みを決めているのは自分自身。自分を作っている要素は周りの環境なので、環境を変えてみると思い込みを外し、多様性が育まれるきっかけになる。だから、いつもと違うことをやってみることは大事。
別世界の人達の話かと思いきや、割と身近な話だということが分かりました。
①王道(既に最適化されている定番を押さえる)→②流行りを押さえる→③①~②の共通項を見つける。この繰り返しで、自分の中に基準ができてくるというのは、ビジネスの別の場面でも使える面白い発想だと思います。