『会計マネジメント』(檜作昌史)(〇)
いい本発見!。アカウンティングⅡのお薦め本です。
日本生産性本部のコンサルティング・ノウハウシリーズの中の1冊で、財務分析、管理会計の基本、経営計画の策定、部門別採算、その他様々な係数管理に関してコンパクトにまとまっています。
しかも、簡単すぎず、難しすぎずで210ページほどでちょうど良い感じです。
(主な内容‥本書より)
〇第1章:財務諸表分析を中心とした会社の数字の基本
⇒型どおりの財務分析(アカウンティング基礎レベル)。ここにページを割いていないところが管理会計に絞って書く意思が窺えて良いです。
〇第2章:管理会計の基礎
・管理会計は経営の意思決定をするための攻めの会計
・管理会計では、企業自身がルールを自由に作れる。いかに自社の活動に適したルールにできるかが課題。
⇒変動損益計算、損益分岐点(変動費比率、固定費、限界利益率)関連の切り口。
〇第3章:経営計画の策定
・戦略と計画の整合性
・理念、ビジョン→戦略→計画→行動計画という一貫したストーリー
⇒計画策定の流れ、数値計画(予想はP/L⇒B/S⇒C/Fの順)
・「経営は後ろから読む」‥目標利益からスタートする
〇第4章:部門別採算管理制度
・組織が専門化、階層化するにつれて部門別の採算管理が必要になる
・社内仕切り価格の決定
①原価基準(実際原価 or 標準原価。利益を上乗せするかしないか)
②市場基準(実勢価格、売価掛け率基準、当事者交渉)
・内部振替ルール
①忌避宣言権の設定‥外部取引を可とする
②未実現利益の消去‥社内取引後に、期末在庫で残っていれば会社として利益を実現していないので、いったん計上された利益を売り手部門の粗利さら差し引く
・配賦基準(人員数、人件費、資産、売上高、混合など)‥ABCの解説はなし
〇第5章:計数管理の仕方
・予実管理、KPI、資金繰り・・・
第2章に書かれている、「管理会計は経営の意思決定をするための攻めの会計(=道具)、「企業自身がいかに自社の活動に適したルールにできるかが課題」。まさに、管理会計の本質。
本書では、経営計画の策定~予実管理にページが多くを割かれており、ABCのような配賦の各論はあえてカットされているところに、管理会計の本質を伝えたいという意思を感じました。
管理会計の勉強には、本書だけでは不足(2冊目、3冊目を読んで補強する必要あり)だとは思いますが、とても良い切り口で書かれた書籍だと思います。
管理会計はそもそも初めてという段階であれば、本書と『管理会計の基本がすべてがわかる本』を読むと概要がつかめると思います。