『新1分間マネジャー』(ケン・ブランチャード、スペンサー・ジョンソン)
最近追いかけている、ケン・ブランチャードさん。1981年原著、邦訳1983年の改訂新版。物語形式でマネジャーに求められる「3つの秘訣」についてまとめられています。140ページ弱とボリューム的にも読みやすい一冊です。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇第一の秘訣「1分間目標」
①部下と協力して目標を立て、その目標を簡潔かつ明瞭に記述する。優れたパフォーマンスとはどのようなものか、部下に示してみせる。
②部下の目標を、目標ごとに1ページずつ、期限も含めて書き出させる。
③重要な目標については毎日見直しをさせる。これには数分しかかからない。
④1分間で現在の進捗状況をチェックし、自分の行動が目標と一致しているか確認するように促す。
⑤行動が目標からずれていたら、現在の活動を見直すように促し、いち早く目標が実現できるようにする。
⇒マネジャーはチーム全員に仕事をよりよく、より早くこなすことの楽しさを味合わせたい。
〇第二の秘訣「1分間称賛」
[最初の30秒]
①できるだけ早く称賛する。
②どこが正しかったのかを具体的に伝える。
③部下が正しいやり方をしたことがどれほどうれしく、役立っているかを伝える。
⇒ほとんどの組織でマネジャーが部下に目を付けるのは、もっぱら部下のやり方が間違っているとき。部下が正しいやり方をしているところに目をつけて、1分間称賛をする。
[小休止]
④少し間をおいて、自分の行動に対する満足感を味わわせる。
[後半の30秒]
⑤同じことをさらに続けるように激励する。
⑥部下を信頼していること、その成功を援助することをはっきり伝える。
〇第三の秘訣「1分間修正」
[最初の30秒]
①1分間修正はなるべく早く行う。
②事実を確認したうえで、一緒にミスを振り返る。検証は具体的に。
③部下のミスと、それが結果に及ぼす影響について、自分がどう”感じて”いるかを伝える。
[小休止]
④少しの間沈黙して、自分のミスと向き合わせる。
[後半の30秒]
⑤ミスは取り返せること、人間として評価していることを伝える。
⑥信頼していること、部下の成功を応援していることを伝える。
⑦1分間修正が終わればそこで完結し、いつまでも引きずらないようにする。
⇒変化の激しい現代では、誰もが学習を求められる。自分は専門家のつもりでも、一日経てば専門分野そのものが消滅してしまうこともある。1分間修正を受けると自分のどこを変えるべきかが分かり、良い勉強になる。
〇マネジャーはこんな態度をとっていないか?
・多くのマネジャーは、部下は何を目指すべきかを知っていると、誤って思い込んでいる。部下は何を期待されているかを知っていると仮定するのは、ゲームとして成立しないボーリングをやるようなもの。ピンは立っているが、いざ投げようとするとピンの手前に幕がかかっている。投げたボールは幕の下をすり抜けてピンが倒れる音がするけれど、何本倒れたかは分からない。プレイヤーに結果を尋ねたら、「わかりませんが、すかっとしました」などと答える。
・たいていのマネジャーは、完璧に正しいやり方ができるようになるまで褒めようとしない。その結果、多くの部下がハイパフォーマンスに到達できずに終わる。マネジャーが粗探しばかりするから。最終目標と少しでも違えば、間違いとみなされてしまう。
・実に多くの組織が、新しく入った経験の浅い人間に対し、歓迎し、みんなに紹介し、そのあとはほったからし。概ね正しいやり方をしても褒めないだけでなく、定期的にお尻を叩いて、意味もなく追い立てる。長年こうしたマネジメントスタイルが支持されてきた(「ほったからしてバッサリ」式マネジメント)。部下をほったからして高いパフォーマンスを期待し、期待に添えないとバッサリ叩く。
1分間シリーズは、伝えたいことがシンプル(3つの秘訣)であって、とりあえず、こだけはしっかりやろう、これなら取り組めそうと思える内容です。『1分間マネジャー』『1分間リーダーシップ』『1分間エンパワーメント』『1分間顧客サービス』『1分間意思決定』。1冊読みだすと全部読みたい気持ちにさせられるシリーズです。
- 作者: ケン・ブランチャード,スペンサー・ジョンソン,金井壽宏,田辺希久子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/06/19
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