MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

トヨタ生産方式(大野耐一)

トヨタ生産方式』(大野耐一)(〇)(3回目)

 現在受講中オペレーション戦略との関連性が深い書籍のため、約5年ぶりに読み直してみました。

 1978年の書籍ですが、生産の平準化により、仕掛在庫など様々なムダを削減する発想は、まさに生産オペレーションの基本的な考え方を学ぶ意味でとても参考になりました。さすがに、言わずと知れた、良書ですね。

(印象に残ったポイント‥本書より)

〇生産方式を考える前提:生産計画は変更されるためにあるようなもの。一遍計画を立てたから変えないということでは、企業の存続すらおぼつかない。

〇老化した人間の背骨はうまく曲がらない。一回曲がったらすぐ伸ばせない。これは老化現象だが、企業の老化現象にも同じことが言える。

自働化の前提となる考え:異常な時に人が機械の代わりをすることは、いつまで経っても異常がなくならないということ。古来、日本には「臭い物に蓋をする」という諺があるが、それでは、いつまで経っても改善が進まないし、原価は安くならない。

〇「ジャストンタイム」はチームプレー(すなわち連携プレーの妙を発揮させる)、「自働化」は、選手一人ひとりの技を高めること

〇7つのムダ:①つくりすぎのムダ、②手待ちのムダ、③運搬のムダ、④加工そのもののムダ、⑤在庫のムダ、⑥動作のムダ、⑦不良をつくるムダ

〇逆常識を常識化する才気と胆力‥「後工程が前工程を引き取りに行く」というカンバン方式の導入にあたって →単なる知識の理解ではダメ。企業のトップが意識を革新して意思決定すること。抵抗は多いし勇気は必要。それでもトヨタ生産方式を完成させるためには、あえて決断しなければならなかった‥

カンバン方式ができたのは、生産現場に「流れをつくる」意識があり、実際に手をつけていたから。意識のないところにカンバン方式を入れても非常に難しい。中途半端なカンバン方式は、百害あって一利なし。

〇現場の自主判断(自律神経)‥いろいろな部品をつくる順序、残業をして一定数をつくるなどの判断は、頭脳に相当する生産管理部に問い合わせなくても、自らの判断でできる現場にしなければならない(→そうしなければ、日々のオペレーションは回らない)

生産現場の「動き」を「働き」に‥「働く」は、工程が進み、仕事が出来上がっていくことがはっきりと認識されること

〇「稼働率」と「可動率」

 ・稼働率:その機械がフルに操業したときの能力に対する生産実績

 →100%が理想とは言えない。用もないのに動いていないか?

 ・可動率:動かしたい時にいつでも動く状態

 →いつでも動かせるという意味で、100%が理想

〇少人化:同じ仕事を少ない人数でできるようにすること。単なる人員削減の「省人化」ではない。

 

 まだまだ、書ききれない深い言葉がたくさんあります。

 システム化が進んだ現在でも根底にある考え方をしっかり持っておくことが、どれだけ重要かということに気づかされました。

トヨタ生産方式――脱規模の経営をめざして

トヨタ生産方式――脱規模の経営をめざして

 

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