『現場改善』(鍛治田良)
日本生産性本部のコンサルタントの方の著書です(コンサルタントシリーズ6冊のうちの1冊)。
5Sを軸に、ワークサンプリングや流れ分析などの現場改善スキルについて書かれています。様々な帳票から動作・動線分析に至るまで、かなり実務的な細かいところまで踏み込まれている実務書です。
(印象に残ったポイント‥本書より)
〇5Sの効果は、①利益の増加、②貫く力の向上
→多くの現場では5Sを行っても人員の調整を行っていないので、財務諸表に効果が反映されない。一定の効果が出たら役割分担の変更が必要。
〇「整理」(要るものと要らないものを分けて、要らないものを捨てる)
基準をつくり機械的に捨てる
〇「整頓」(必要なものがいつでもすぐ取り出せるようにすること)
3定(定位置、定品、定量)、短い作業動線、わかりやすいこと
〇「清掃」(綺麗な状態にすること)
1作業1片付け、責任範囲の明確化、チェックする仕組み
〇「清潔」(整理・整頓・清掃を維持すること)
異常が見える環境づくり、チェックする仕組み
〇「躾」(ルールを守るように習慣化する)
経営者・管理職の関心、ルール・規律
〇7つのムダ
①作りすぎのムダ、②在庫のムダ、③不良品をつくるムダ、④手待ちのムダ、⑤運搬のムダ、⑥動作のムダ、⑦加工そのもののムダ
〇作業や業務を見る際、「動き」と「働き」を意識すると、無駄や改善点に気づく
「働き」は付加価値を高める行動、「動き」はそれ以外の行動
〇ECRS
①Eliminete(なくす)、②Combine(結合する)、③Rearrange(順番を変える)、④Simplify(簡単にする)
〇動線分析の着眼
①長い動線、②離れ小島、③往復
5Sでよく聞く悩みは定着化。企業規模に関わらず、優良企業は5Sはしつこいくらい徹底していらっしゃいます。従業員の意識と組織の仕組化の第一歩なんですね。
昔、ある社長が、「うちは経理担当にも5Sを徹底させている。バランスシートを徹底的に5Sするように」と、おっしゃっていました。売掛金、在庫、固定資産などの帳簿上の整理整頓を意識させることで、現場に指示を出させて、財務をスリムにするというもの。「なるほどなぁ」と思いました。
個人的には、PC内のデータの整理・整頓は意識的に取り組んでいます。
「あのファイルどこ行ったっけ?」という探すムダを省くために、フォルダやファイルの名前の付け方、フォルダの階層を意識するだけで相当ロスは減らせるかなぁと思っています。
言葉にすると単純なことですが、身の回りにたくさんある改善の対象に気づけるかどうか。普段からの「問題意識」が大きいですね。