『なぜ、マネジメントが壁に突き当たるのか』(田坂広志)
”暗黙知”をキーワードにマネジメントで悩むポイントについて、12講に分けて解説されています。考え方の根底には、「知っていることを全て言葉にすることはできない」という点があり、逆に言えば、言語知だけで仕事を進めようと思うとうまくいかないということ。
(印象に残ったポイント)
〇大局観、直観力、洞察力
感覚・感性を深めることによって獲得できるというのではなく、むしろ、多くの先人たちは、対極にある論理的思考に徹する時代を経て獲得していった。突き抜けるためには、徹すること。徹することは、人間にとって最も高度な精神力が要求される。
〇問題解決
・西洋的治療の発想(直線的):問題分析→原因究明→原因除去→問題解決
・東洋的治療の発想(循環的):全体観察→構造理解→要所加療→全体治癒
→「病気を治す」ではなく、「病気が治る」という発想
→マネジメントで大切なのは、直線論理で生まれる矛盾に見える問題に個別に目を奪われることなく、矛盾を含んだ問題群の循環構造の全体像を理解すること。マネジメントの本質は、「矛盾」との対峙。
→割り切りによって心を楽にしたいという衝動と戦い続け、矛盾を解消することなく対峙し続けるという意味では、極めて強靭な精神が求められる世界。
〇経験と体験の違い
経験しても体験しないのが現場主義の抱える落とし穴。経験を突き詰める姿勢が弱い、経験に徹する姿勢に欠けるとも言える。
〇部下教育
・成長の方法を伝える:心の姿勢を正す
・成長の目標を持たせる:どこまで高みを目指すのか
・成長の場を作る:組織にメンバーを成長させる空気を作る。そのためには、
①マネジャー自身が成長すること、②マネジャー自身が成長し続けること、③マネジャー自身が成長したいと願い続けること
正解のない世界で、自分なりの考え方で判断していかないといけない立場になり、「感覚を養う」ということを意識し始めて数年が経ちます。
やっていることといえば、たくさん本を読む、たくさん人の話を聞く、人の話を素直に聞く‥。
決して、知識や暗記ではない。ふと振り返れば、いつの間にか判断力がついてきているのかなと思ったり、「いや、まだまだ全然ダメ」と思ったりの繰り返し。
正解がない世界へどう対応するか。この先もずっと付き合っていく問題。気負いすぎずに矛盾と対峙し、道を切り開き続けていこうと思う。