『わかる!管理会計』(林總)
アカウンティングⅡの受講にあたり、管理会計の入門書を読んでみました。昔、新入社員へ管理会計の勉強を勧め際に探した書籍だけあって、本当に入門レベルです。
半分ほどはアカウンティングやファイナンスの領域と重複しています。
アカウンティング、ファイナンス、管理会計と授業の科目は分かれても、カネ系は、すべてが繋がっていることを実感します。逆にいうと、カネ系は、すべての領域を学んでようやく全体が繋がり、理解が加速する科目ではないでしょうか。
(本書のポイント‥管理会計の領域に絞って)
・財務会計:ステークホルダーへの活動実績の報告をするための会計
‥業務と会計(=コストの発生源と勘定科目)の関係を双方向で結び付ける必要
⇒社内のコストを正確に把握すること(実績)
⇒正確なコスト把握があってこそ、経営計画や予算の立案、期中のチェックや打ち手が生きてくる。
【コストの把握】
〇直接コストと間接コスト
コスト発生が製品に対し、直接的に集計できるかどうか
・直接:
直接材料費:標準仕様数量×標準単価
直接労務費:標準作業時間×標準単価(賃率)
直接経費:標準作業時間×標準単価(配賦率)
・間接:間接材料費、間接労務費、間接経費
〇固定費、変動費、準固定費(一部変動費)、準変動費(一部固定費)
→実務では、勘定科目法で強引に固定費・変動費に分けることが多い
個別原価計算:製品ごとに製品原価を集計する方法
標準原価計算:一定期間の発生原価に在庫を加味して計算する方法
【計画・予算の策定‥細かい計算手法はここでは省略します】
〇年次予算は、月次予算を積み上げる
〇予算は、従業員へ目標を与える
〇社内の仕切り価格には、「標準原価」を使う(営業と製造の責任の明確化)
〇月次決算によりPDCAサイクルを回す
かつて、金融マンとしての駆け出しの頃、研修で、部門別採算を算出して、どの事業を伸ばし、どの授業をやめるかというケースに取り組んだことがあります。
そのとき、正確に部門別のコストが集計できないと儲かっている事業をやめるという結論になりかねない、こわい経験をしました。
ケースでは、間接費の配賦をどう考えるかという点が論点になったのですが、部門別採算をどうやって算出したかという計算の源流まで遡って理解せずに、提示された計算結果に基づき机上で議論することには危うさが潜んでいることを感じました。
そんな、経営判断の失敗をしないためにも管理会計で数値の算出の裏側を掘り下げて理解することにはとても意味があると思います。