『Fin Tech入門』(辻庸介・瀧敏雄)
2015年頃からよく耳にするようになった、「Fin Tech」。Finance+Technologyの造語であり、文字通り、金融と技術の融合のことを言います。本書は、利用領域ごとに背景や事例を交えながら解説されているフィンテックの入門書です。取りあえず1冊という手軽に読める内容にまとめられています。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇フィンテックが注目され始めた理由
①技術の開発コスト低下
・オープンソースソフトウェアの進化
・クラウド化
・API化(application programming interface:サービス間の約束事)
②開発したサービスを普及させるコスト低下
③サービスを使うユーザーの期待の高まり
〇個人資産管理(PFM:personal financial management)
・自分の資産状況の見える化
→API連携により、銀行の選ばれ方も変わってくる可能性がある。個人資産管理の必要性を感じているユーザーは、APIに接続することができる金融機関のなかでも、より自分に有利で使いやすい金融機関を選んでいくものと思われる。
〇企業会計、経営・業務支援
・クラウド会計サービス
→①インターネットに繋がってさえいれば情報にアクセス可能、②情報・データを複数の人がリアルタイムに共有可能、③サービスの改善スピードが飛躍的に向上、④初期費用が安い。
〇資産運用
・ロボアドバイザー
→ファイナンシャルプランナーの代わりに、独自のアルゴリズムの計算を行い、自動的にベストなポートフォリオを作成し、それに応じた運用を行う。
〇融資、ソーシャルレンディング
コンピュータが、融資を受けたい企業の財務データや個人の所得証明などから、ビッグデータ解析によって返済可能性を算出し、その結果に基づいて、融資することができるか、金利はどの程度に設定すればよいか、などを判断する。
→借り手と貸し手が直接マッチングされるようなサービスが生まれ始めている。
〇クラウドファンディング
・融資型=ソーシャルレンディング
・投資型=株式交付
・寄付型=進捗報告など
・事前購入型=支援金で開発した商品・サービス提供⇒日本で多いタイプ。支援者がまず、ユーザーがこれから開発する商品やサービスなどのプロジェクトへ出資を行う。プロジェクトが一定金額に到達すれば、商品者サービスの開発を開始し、完成後、支援者に商品者サービスの提供を行う。
〇決済
・PayPal、Squareなど
⇒キャッシュレスが促進され、効率化が進み消費者の利便性が高まるとともに、電子化によるデータが大量に生まれ、そのデータが利活用されることにより、日本の経済や社会に大きなプラスのインパクトを与えることが期待される。
〇ブロックチェーン
ブロックと呼ばれる取引記録は、メールの返信履歴のように返信自体が繋がっており、チェーンのように繋がっている。ビットコインの場合、新しいブロックが約10分に1個作られ取引内容が確定される。この記録を改ざんしようとする場合には、大きな費用がかかるため、安全性が高い。
まだ、様々な技術が広まりつつある段階であり、サービスの改善や法整備などの課題が山積している状況です。しかし、例えば、ビットコインが金融機関で利用可能な時代がやってくれば、これまでの金融機関のビジネスモデルが変わっていくことが予想されています。時代の流れは急速であり、フィンテックの動きをウォッチしておくことが必要ですね。
〇