『ファイナンスと事業数値化力』(大津広一)(〇)
ポケットMBA ビジネススクールで身につけるシリーズの一冊。
早稲田ビジネススクール講師を務める著者が、ファイナンスの基本知識と多くの受講者が抱える疑問点について、分かりやすく解説した文庫本です。
例えば‥
①アカウンティングとファイナンスの違いって?
②アカウンティングとファイナンスはどちらを先に受講すべき?
③キャッシュフローを割り引くなんて、実際企業はやっているの?
④計算は合っているけど、ピンとこないんですが…?
⑤理屈はわかったけれど、実務のイメージが湧かない?
⑥仕事の役に立つの?
(印象に残ったところ‥本書より)
〇NPV関数を使うよりも1年ごとに割り引いたキャッシュフローを使う方が良い。NPV関数は、何がどう計算されたかという途中のプロセスがブラックボックスで、結論だけが示される。例えば、4年目のキャッシュフローがNPVにどの程度貢献しているかが分からないまま、結論だけを出すことになる。
〇NPV法とIRR法で意思決定を等しくするには、両社の判断基準を同一にすることが必要(NPVの割引率=IRRのハードルレート)
〇NPV法を優先すべき場合(金額を明確にとらえたい)
①途中のプロセスの議論を重視したい場合
②プロジェクトの特異性が強い、金額の規模が大きい
〇IRR法を優先すべき場合
①予算に制約がある中で優先順位を付ける場合
②割引率が明確に定まらない場合
〇FCF=①P/L項目+②投資項目+③運転資金に関する項目に分解
①:営業利益×(1-税率)
②:+減価償却費ー設備投資
③:+追加運転資金
〇Cash is reality,profit is a matter of opinion
キャッシュが真実であって、利益は意見に過ぎない。
利益は会計方針の選択において、経営の恣意の入る余地がある。
ファイナンスは、アカウンティング以上に、実際、どのようにビジネスの現場で使うのかイメージが湧きにくい科目ですよね。そのため、「これって意味あるの?」みたいな疑問点が次々に湧いてきて、解消されないと、次の話もわからなくなってしまう。そういう場合、分かっている人に聞くのが一番ですが、書籍で勉強しようとする場合は、素朴な疑問のQ&Aが多い、本書は適していると思います。
タイミングとしては、入門書で学んで、いろいろ疑問が湧いてきた頃がぴったりだと思います。
ビジネススクールで身につける ファイナンスと事業数値化力―ポケットMBA〈6〉 (日経ビジネス人文庫)
- 作者: 大津広一
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2010/11/02
- メディア: 文庫
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