『疑う力』(堀江貴文)
本書は、常識とされていること、多くの人が言っていること、メディアが言っていることに対し「それってホント?」と疑問を投げかけ、本当はこうではないかという主張が33のテーマについてなされています。表現ぶりに惑わされずに内容を見ていけば、「なるほどそうかも」と思えるものが多数。ただし、あとがきで、「著者が言っていることを鵜呑みにせず、著者が言っていることが本当か?」と疑う目を持って欲しいとされている通り、自分がどう思うかという軸をはっきりさせる。そのためには、自分で情報を集め、自分で判断する姿勢を養うことが必要ということがメッセージとして伝わってきます。テーマごとに「堀江の主張」として3つのまとめがあるのもわかりやすいと思います。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯キャッシュレスを笑うものは商売で泣く
①お店で現金を管理するのはリスクも高く、コストもかかりすぎる
②カード会社に手数料を支払ってでも、キャッシュレス化した方が店の業績は伸びる
③中国は物乞いがQRコードを持っているほどの「超キャッシュレス社会」
◯優れた「職人技」のほとんどがデジタル化できる
①大ヒット日本酒「獺祭」の製法はデジタル化されている
②「イケてる職人」は、技術のデジタル化に積極的
③「仕事」は機械に任せ、イノベーションに取り組もう
◯マスメディアは戦時中の体質から何一つ変わっていない
①ほとんどのメディアは営利企業。追求するのは正義ではなく利益だ。
②桜田大臣の「がっかり」発言は、完全なる「切り取り」報道だった
③記者クラブというギルド的寡占がなくなれば日本のメディア報道は生まれ変わる。
◯「バイトテロ」を報道するくらいなら「本物のテロ」を防ぐ手立てでも考えろ
①マスコミが報道価値ゼロの「バイトテロ」をニュースにするのは、視聴率が取れるから
②安い賃金で働くアルバイト店員に「モラル」まで求めるのはおこがましい
③日本は”テロ先進国”として悪い意味で世界に教訓を与えている
◯資格なんて単なる利権。実力は資格で測れるものではない
①資格試験は金儲けをしたい連中の利権を守るための仕組み
②敏腕編集者・箕輪君だって、特別な資格なんて何も持っていない
③ムダな資格は片っ端からぶっ潰さないとイノベーションの邪魔になる
◯組織も国家も民主主義より「ワンマン独裁制」の方が改革は進む
①組織内でまともに仕事をしているのはせいぜい2割
②民主的合議制ではハイリスク・ハイリターンの決断をスピーディにできない
③世界のトップ企業はカリスマ的リーダーの「独裁」によってデカくなった
◯大学はオワコン化する。学費を払うくらいならそのカネで起業しろ
①大学なんか卒業していなくてもグーグルやアップルで働ける
②日本の「偏差値ブランド」は国際社会では何の意味もない
③ネットを使えば勉強なんてどこでもできる
◯子供の才能を育てるのは学校教育ではなくパソコンやスマホ
①「いつまでも飽きない」「何かに没頭できる」というのは誇るべき資質
②10歳でプロになった囲碁の仲邑さんはAIで才能を開花させた
③パソコンとネットのおかげでどこにいても「自由」が手に入るようになった
◯マイホーム購入のために多額の借金を背負いこむのはナンセンス
①特定の住居を持たない「ノマド生活」で僕のライフスタイルは最適化された
②不動産会社の営業マンのトークを鵜呑みにするのは情弱バカだ
③若者のマイホーム離れ、クルマ離れを批判する中高年は思考回路をアップデートせよ
◯「席、倒していいですか?」という非効率マナーは「自己中」人間のリスクヘッジに過ぎない
①「他人の時間を奪う」のは一種の暴力行為
②マナーとはノイジー・マイノリティに配慮すればするほどガチガチに厳しくなる
③日本人の多くは礼儀もマナーもアップデートできていない
◯マンガは「時間密度」が最も高い最強のメディア
①世界に目を向ければマンガ市場は真っ青なブルー・オーシャン
②ビジネスエリートほど積極的にマンガを読むべきだ
③幻冬舎社長の見城さんは、マンガをきっかけに大の読書家になった
本書を読んでいると、自分の頭で考えることの大切さを感じます。周りが言っているから同じように言ってれば、行動していれば安心と思っていたら、本質を見失い足元をすくわれることもある。常に批判精神も持ちつつファクトを押さえるようにしたいものだと思います。