MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

戦略読書(三谷宏治)

『戦略読書』(三谷宏治)(〇)

 ヒトと違った面白い発想を出すためには、情報源を変える・拡げることが必要。資源配分(どんな本をどれくらい読むか)を変え、読み方(精読か斜め読みか)を変え、知識や思索を深め幅を広げる。本書では、そんな戦略的な読書術をはじめ、書斎のつくり方、お薦め書籍(435冊)が紹介されています。

 表紙を開くとカラー版で数ページにわたり著者の書斎・本棚の写真が掲載されており、ちょっと衝撃的で圧倒されますよ!

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇この本の目的

①自らの読書に「戦略」を持ち込む

②そこでスキルと勘を効率よく得て、自己を改造する

コモディティにならず、オリジナリティのある存在になる

 

〇結論

①年間100冊の本や雑誌を読みましょう。時間はスマートフォンとの付き合い方を変えるだけで生み出せる。通勤通学中をうまく使いましょう。

②100冊の本を「読書ポートフォリオ」として管理・再配分しましょう。今のビジネス系か非ビジネス系か、基礎か応用・新奇かのマトリクスで4分する。

③その「読書ポートフォリオ」を自分の社会人ステージに合わせて、意思をもって変えていきましょう。ビジネス系から非ビジネス系に、基礎から応用・新奇へと。

④各セグメントでの読み方も意図的に変えましょう。「粗読み」「斜め読み」「熟読」「重読」。基礎ができれば粗読みや斜め読みが効率的にできるようになる。

⑤同じ文章を読むにしても「読め方」(「読み方」ではない)によって価値は何倍にも変わる。「対比」「反常識」「数字」「一段深く」「抽象化」の5つの視点で読み込みましょう。

⑥廊下の一部でもいいから書斎を持つ。浅めの天井までの本棚で蔵書を開架し、棚ごとに分類・面陳する。

⑦読書→思索・行動→発信→スキルのサイクルを回す。思考法のパターンを少数身につけ使い込み、必ず自分でやってみる(思考錯誤)。流行りにかかわらず発信を続けてスキル化し、世の中が追い付いてくるのを待つ。

 

〇セグメントごとに読み方を変える

(「ビジネス」「非ビジネス」と「基礎」「応用・新奇」の4象限)

・ビジネス系は必要なところだけピックアップ

・非ビジネス系はじっくり味わう

・ビジネス系は基礎ができていれば、応用はつまみ読みで十分

①ビジネス基礎

 テーマごとに1~2冊でいいので古典的大著をじっくり読む。『マーケティング・マネジメント』(フィリップ・コトラー)、『競争の戦略』(マイケル・ポーター)のような。

②ビジネス応用

 一番力を入れるのはファクト(事実)。企業事例の良い本は迷わず読む。フレームワークは厳選。所詮一度にひとつしか使いこなせない。多くを学んでも無駄。

③非ビジネス基礎

 自然や人の本質を描こうとしている本なら何でもOK。著者の場合、SF、化学(生物・物理・数学)、歴史、プロフェッショナル、心理学など。

④非ビジネス新奇

 偶然の出会い、流行りもの、書評から、人にお勧めを聞く。

 

〇「読め方」

 同じ文章を読んでもそこから何が読み取れるかは人によって大きく違う。これを「読め方」という。本を人の2倍読むのは難しいが、1冊から面白い点を人の5倍見つけることは可能。

①過去や他業界と「対比」して大局観を持つ

②当たり前を覆した「反常識」を見つける

③徹底的に「数字」にこだわる‥「重み」と「差」に着目

④人より「一段深く」まで調べる‥検索は1,000件辿る

⑤得たものはちょっと「抽象化」して考える・覚える

 

 「やっぱり三谷さんスゴイ!」という驚き、「あ、自分も本の読み方の発想が近い!」という喜び、「本のジャンル開拓を一層広げみたい!」というやる気、いろいろな感情が引き出された本書。

 読書は成長には欠かせない基礎。本を「選ぶ」「読む」「残す」。そのサイクルをどのように回すのか。時間は有限だからこそ、一冊一冊の選び方や時間の費やし方が積み重なると相当な差になりますね。

 それにしても、三谷さんの書斎が羨ましい!

戦略読書

戦略読書

 

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