『志を育てる』(グロービス経営大学院・田久保善彦)
本書は、グロービス経営大学院生必須の課題図書です。志とは何か、志はどのようなプロセスで醸成されるのか、どうすれば志を醸成することができるのか。30名以上の学生に対する調査を取りまとめた帰納法的な一冊です。「自分は何を付加価値として世の中に還元するのか」「何のために働くのか」といった時分起点の小さい志を見つけることが重要であることが示されている本書は、改めて読み直してもその大切さを感じることができました。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯志とは(定義)
・「一定の期間、人生をかけてコミットできるようなこと(目標)」
・一定の期間:期間のイメージとして2〜5年程度は最低必要。
・その人が何かに取り組む際に活用可能な「時間」や「意識」のかなり多くの割合を、自らの意志に基づいて、自主的に割いて取り組んでいること。
◯小志と大志
・小志:一定期間、人生をかけてコミットする目標
・大志:一生涯を通じて達成しようとするもの
・大志に対する自覚は、①小志を積み重ねていく中で、徐々に自分自身の大志に気づく、②はじめに、「大志」ありきだが、小志を積み重ねていくことで、その大志の具現化を進めていく。
◯志の存在が与える3つの効用
①困難な状況を乗り切り、学び続ける精神的な支えとしての役割
②リーダーシップを発揮し周囲を巻き込むための旗としての役割
③自分の取り組みが、もともとの目的や目標からずれていないかを測り続ける心のアンカーとしての役割。
◯志のサイクル
①あるきっかけで目標を持つ
②達成への取り組み
・時折、自らが設定した志に立ち返り、それを忘れないようにする。
・志をわかりやすい言葉で明示し、常に共有できる状態にしておく。
③取り組みの終焉
④客観視
・他者や世の中との比較。他業界や一般的なビジネスの仕組みと比較。
⑤自問自答
・あくまで客観視の後に取り組む。
・「自分は何がしたいのか」といった問いかけだけをしないようにする。
・自分自身の強み、弱みを他者との比較などを通じて問う
⑥新たな目標の設定
・準備状態を高めておくことで、他人から与えられる機会に敏感になることができる。
・様々な人的なネットワークを構築しておく。
・明確な強み(コンピタンス)を確立しておく。
◯志のサイクルに影響を与える要素
▪︎実体験
①場所の変化
②情報の入手
③事件との遭遇
④人との関わり
▪︎仮想体験
⑤一定期間の経験
⑥哲学や思想・宗教との出会い
⑦教育機関での知識・スキルの習得
◯志の成長の方向性
①志は自立性を高めながら成長する
・自立性の発展
1)誰かの決めた規範に合わせていく(適応)
2)自らで規範を選び、自らをハンドリングしていく(自立)
3)自らが決めた規範に他者を導いていく(指導)・他者の自律性が高まることを支援する(支援)。
②志は社会性を高めながら成長する
1)自分自身のため
2)自分の身近な周辺のため
3)組織全体のため
4)社会全体のため
志は螺旋状に進んでいく感覚。在学時にはまだピンときていませんでしたが、卒業後時間が経過し、思い描いたことが実現してくると新しい目標が現れてくるということを実体験することで、だんだんわかるようになってきました。
その中で大きかったのは、やはり、コーチングを学び、自分の価値観ややりたいど真ん中が見つけるコミュニティに属したこと。
自己分析が相当進み、そして、未来を描いて実際に時間が経過し、その結果が現れてきているという経験を積むことで、ようやく志を話せるようになってきたと思います。「志」は、簡単そうで突き詰めて考えると、実は難しいもので、永遠に追いかけていくものかもしれません。
志を育てる 増補改訂版: リーダーとして自己を成長させ、道を切りひらくために
- 作者: グロービス経営大学院,田久保善彦
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2019/05/10
- メディア: 単行本
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