『コロナショック・サバイバル』(冨山和彦)
今最も関心が高いと思われる、これからの経済はどうなっていくのか?個人や企業ができることは何か?これからこのテーマに関する本が続々出てくると思います。あの冨山さんはなんて書いていらっしゃるんだろう?という興味から買ってみました。本書の続編『コーポレート・トランスフォーメーション』も現在読んでいるところです。ビジネスの上でも、「これからの各業種の姿はどう変わるのか?」「その集合体である日本経済はどうなるのか?」は私が追いかけているテーマであり、今月からは経済対策の最前線に出ることになったからこそ、自分なりの見解を持ちたい領域です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯経済重篤化の3段階
①ローカル
・今回の危機は、金融サイドから始まった経済危機であるリーマンショックとは順番が逆であり、その分、私たち受ける影響は直ちに強烈なものになる。
・観光、宿泊、飲食、エンターテイメント、(日配品、生活必需品以外の)小売、住宅関連のローカルなサービス産業。こうしたL型(ローカル)産業群は今や我が国GDPの約7割を占める。
②グローバル
・日本自身が国内の爆発的感染をうまく抑え込めても、主要市場である欧米で今のような状況が続き、中国が爆発的大量消費モードに戻らなければ、日本のグローバル大企業や関連する地域の中堅・中小企業に第二波がし寄せてしまう。
③ファイナンシャル
・数週間ではなく、数ヶ月、半年、一年という単位で続くと、そこで生じる資金繰り融資は「赤字補填」融資となり、売り上げが戻らない間はほとんど借金として積み上がっていく。時間が経過するほど借金は重くなる一方で事業は傷んでいき、返済能力はむしろ弱まって、回収見込みが低下して不良債権化する可能性が出てくる。
・そうなると今度は金融機関のバランスシートが痛みだし、信用想像力が毀損して金融収縮は始まり、ますます実体経済を収縮させる悪循環が生まれかねない。
◯企業が、個人が、政府が生き残る鍵
・飢饉に遭遇したリーダーは、今、目の前にある危機を生き残ることと同時に、パラダイム転換後の新しい通常、すなわちニューノーマルを展望、想像、妄想さえもしていろいろな準備を仕込んでおくことが求められている。
・過去の経済危機の歴史において、同じ業種でも企業の生死を分けたのは、要するに危機到来時における、手元流動性(現預金)の潤沢さ、金融機関と従来からの信頼関係、そして平時における稼ぐ力(特に営業キャッシュフローの厚み)と自己資本の厚み。
・修羅場の経営者の心得
①想像力:最悪の想定を置き、最善の準備をせよ
②透明性:バッドニュースをあからさまにせよ、信用毀損を恐れるな
③現金残高:短絡的なPL目標は本気で捨てろ。日繰りのキャッシュフローがすべて。
④捨てる覚悟:何を本当に残すか。迅速果断な「あれかこれか」のトリアージ経営を行え。
⑤即断即決:戦時独裁ができるトップ、姿が見えるトップを選び、真の「プロ」を集めて即断即決、朝令暮改。
⑥タフネス:手段に聖域を作るな、法的整理でさえ手段に過ぎない。
⑦資本の名人:2種類のお金を用意せよ(デッド性資金とエクイティ性資金)
⑧ネアカ:危機は新たなビジネスチャンス!「国民感情」に流されずに投資や買収に打って出よ。
◯修羅場の「べからず」集
①みたい現実を見る経営
②精神主義に頼る経営
③人望を気にする経営
④衆議に頼る経営
⑤敗戦時のアリバイ作りに走る経営
⑥現場主義の意味を取り違える経営
⑦情理に流される経営
⑧空気を読む経営
これからの世界や日本がどう変化するのか。企業も個人もまだ先が見えないからこそ、アンテナを張り、自分の考えを持つことは大切。なんとなく周囲に流され、コロナ前に戻るだろうと思っていると、「あれ?こんなはずじゃ?時代が変わったのかな?」くらいの感覚になってしまう。個人なら自分のこれまでの活動について、「オンラインでできること」「対面でしかできないこと」を整理するだけでも大きな意味はあると思います。きっと世の中の大半の人は同意見であり、それがこれからの流れを作っていくはず。まずいのは何も行動を起こさないこと。オンライン会議、オンライン勉強会、オンライン飲み会、オンライン◯◯・・・時代は放っておいても変わり続けるはず。