『運気を引き寄せるリーダー七つの心得』(田坂広志)(◯)
私が、「知性と在り方の第一人者」と感じ、90冊ほど出版されている著書をコツコツ拝読させていただいている田坂広志先生。最新刊も発売日に購入し読ませていただきました。著者の書籍は、読みやすく1回読むと分かった気になってしまうのですが、自分の日常の思考・行動・言動とよーーく照らし合わせて、何度かゆっくり読み返してみると、読み方に深みが増すのが特徴です。今回は、「引き寄せ」を科学的に考察し、日常の行動に落とし込んでいく内容。私は、そのキモとなる「ゼロ・ポイント・フィールド」がまだ人に話せるほど分かっていませんが、最近の著者の著書の中で繰り返し出てくるキーワードですので、ここが理解できるともっと深まるなぁと思いつつ、それでもかなり気づきが多く、日常に活かしたくなる良書でした。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯新たな運気論の5つの特長
①最先端の量子科学
②最前線の超個心理学
③心の浄化の具体的技法
④深い人生観と死生観
⑤科学的技法としての祈り
◯<第1の心得>目の前の危機や逆境を、「絶対的肯定の想念」で見つめる
・「絶対的肯定の想念」とは、ポジティブしかない状態。子供の無邪気さ、純真無垢な状態。
それは大人になって「分別」を身につけると失われていくように見えるが、実は心の奥底にあるだけで、「多重人格のマネジメント」で無邪気で、純真無垢な自分に気づくことが大切。
◯<第2の心得>危機や逆境のときこそ、「死」を見つめ、「死生観」を定める
・人生における3つの真実を見つめる。
①人は、必ず死ぬ。
②人生は、一度しかない
③人は、いつ死ぬかわからない。⇨特にここが大事。
・「明日死ぬ」と思う修行。簡単そうで、容易ではない。「そんなわけない」と思ってしまう。今日が人生最後の日だと思い定めて、精一杯、生きられるか。
◯<第3の心得>人生は「大いなる何か」に導かれているとの「信」を定める
・苦労も困難も、失敗も敗北も、挫折も喪失も、病気も事故も、すべて「大いなる何か」が自分を育てようとして与えたもの。「大いなる何か」は、自分を育てることによって、素晴らしい何かを成し遂げさせようとしている。
・危機や逆境に正対できるか。
・「信を定める」。「信」とは、科学が証明しなくても、誰も証明しなくても、自分自身が良き人生を生きるために、その存在を信じること。成就、占い、予感、予知、直感、以心伝心、共時性(シンクロニシティ)、布置(コンステレーション)などを信じる?
◯<第4の心得>リーダーの無意識はメンバーの無意識に伝わることを覚悟する
・コミュニケーション学的理由:8割は非言語コミュニケーション
・深層心理学的理由:ユング心理学でいう「集合的無意識」、トランスパーソナル心理学でいう「超個的無意識」。シンクロのように不思議な偶然の一致。
◯<第5の心得>危機や逆境のときこそ、メンバーに「使命感」や「志」を語る
・「使命感」や「志」を持つという意味
「自分の仕事には、大切な意味がある。だから、その仕事を成し遂げようとする自分の人生にも、素晴らしい意味がある。そこに、どれほどの危機や逆境があっても、自分の人生には、大切な意味がある。素晴らしい意味がある。」
⇨自らの仕事において、「使命感」や「志」を持つということは、「自分の人生は、いかなる危機や逆境の中にあっても、世の中に光を届けるという素晴らしい目標に向かって進んでいる」と信じられること。
・「使命感」と「志」を持った人間と人間集団は、危機と逆境においてさえ、「絶対肯定の想念」を抱き、自らの人生を「全肯定」していく。そうした人間と人間集団が、さらに強い運気を引き寄せることは、言うまでもない。
◯<第6の心得>「大いなる何か」の導きは、「一直線」ではないことを知る
・「大いなる何か」に導かれるとは、必ずしも、「幸運な出来事」や「幸運な出会い」が続くということではない。人生の「幸運」は「不運」の姿をしてやってくる。日常の何気ない出来事が意味することに気づけるか。不思議な偶然に注意する。
・「大いなる何か」に導かれるということは、ほとんどの場合、「不運に見える出来事」や「不運に見える出会い」を通じて、導かれる。
・逆境がやってくるたびに、「これは、何の導きだろうか」「これは、何を学べということか」「これは、どう成長せよということか」と考える習慣。
◯<第7の心得>「何気ない出来事」に起こる「不思議な偶然」に注意を向ける
・人生の成功者の自叙伝に多く使われるキーワード。「努力」「粘り強さ」「才能」「信念」ではない。「偶然」「たまたま」「ふとしたことで」「折よく」「幸運なことに」である。
・不思議な偶然に気づけない理由は、2つ。
①心の中の「ネガティブな想念」が「雑音」となって「大いなる何か」の「小さな声」をかき消してしまうから。
②心の中に「大いなる何かの声」に耳を傾ける「賢明なもう一人の自分」が現れていないから。
読み終えてみると、本書は、自分の思考・行動・言動を振り返る内省本という側面もありますが、毎日の思考・行動・言動をどのように定め、整えるかという、日々の時間の質を高めてくれる実践の書だと思います。「知識・スキル」を超えて、自分の在り方をさらに高い次元に高めていきたい方にお勧めの一冊です。