MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

LEAN IN(シェリル・サンドバーグ)(2回目)

 『LEAN IN』(シェリル・サンドバーグ)(〇)(2回目)

 フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグさんの著書です。 

 ちょうど、1年前に読みましたが、最近この本の話題に触れることがあり、気になって読み直しました。

 

 女性としてキャリアを築くに至るハードルや様々な葛藤がとてもリアルに表現されています。前回読んだ時の印象と大きくは変わりませんが、社会人になる前までの育ってきた環境の男女の差についての話がとても印象的です。

 帯に「この本は、とりわけ男性に読んでもらいたい。とくに良いリーダーに、優れたリーダーになりたい人たちにお勧めである」(マーク・ザッカーバーグ)とのコメントがあります。まさに、そのとおりと実感したのは、昨年も今年も同じでした。

 

(本書で印象に残ったところ‥本書より抜粋)

〇女性は職場でさまざまな障害物に直面している。陰に陽に現れる男尊女卑の思想、性差別、そしてセクシャルハラスメント‥。育児休業をはじめ、子供を育てながら仕事を続けるために必要な制度を用意している職場は極めて少なく、そのことが女性にとって仕事と育児の両立を難しくしている。男性はメンターやスポンサーの後押しを得て順調に出世していくが、女性は男性より努力して実力を示さなければならない。これは、決して女のひがみや被害妄想ではない。

〇はっきりと物を言い、あからさまに競争するのは、女性に期待される振る舞いに反する。ばりばり仕事をし、際立って優秀で、結果を出すことにこだわるような女性は男勝りとみなされる。そして、男勝りは好まれない。

〇女の子はごく幼いうちからばりばり働くか、いいお母さんになるか、どちらかを選ばなくてはならないというメッセージを受け取っている。そして、大学生になるころには、早くも仕事上の目標とプライベートの目標の両立は難しく、一方を追求すれば他方が犠牲になるだろうと考え始める。

〇女性の多くは、仕事を辞めるという一大決心はしなくとも、家庭を持ったときに備えて微調整をするとか、ささやかな犠牲を払うといった、小さな決断を何度も積み重ねていく。こうして、つねに控えめに遠慮がちになり、表舞台から引っ込んでしまう。職場を離れる前から心は離れてしまっているのである。

〇キャリアはマラソン。長い距離を苦労しながら走り続け、ようやく最後に努力が報われる。沿道の観衆は、男性には「頑張れ!」と声援を送り続けるが、女性には、「そんなに無理するな」「もう十分、最後まで走らなくていいよ」と声を掛ける。距離が延びるほど、この声はうるさくなる。男性ランナーには、「いいぞ」「その調子」と声が飛ぶのに、女性ランナーに対する声には、次第に疑念や懸念が含まれるようになり、時には敵意さえ混じるようになる。

 

 あくまで著者の体験や考えによるものであり、極端な表現かもしれません。ただ、だれもが言いづらいことをしっかり表現しているのかもしれません。いずれにしても、男女の働き方を考える際に無視できない大事な観点だと思いました。

 本書は、男女のダイバーシティに関して、私が最も考えさせられた、お薦の一冊です。ここから何を感じ、どう活かすかは個人の考え方次第ですね。

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