『Think CIVILITY』(クリスティーン・ボラス)
「礼儀正しさ」について書かれた一冊です。著者は、米国ジョージタウン大学の准教授。画期ある職場づくりを目的に、Google、ピクサー、国際連合、世界銀行、国際通貨基金、米国労働省・財務省・司法省・国家安全保障局などで講演やコンサルティング活動を行われ、世界1,500を超えるテレビ、ラジオ、紙メディアで取り上げられるなど、筋金入りの「礼儀正しさ」の研究家です。本書は、そんな著者が20年かけて研究されてきた「礼節」について、自分が礼節ある人間になるだけでなく、礼節ある会社になる、礼節を欠いた人への対処法、礼節さを欠いた職場の害悪など、さまざまな切り口からまとめられた一冊です。身近ですが、書籍としてはちょっと変わったおもしろい一冊です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯無礼な人がもたらす5つの費用
①同僚の健康を害する
②会社に損害をもたらす
③周りの思考能力を下げる
④周りの認知能力を下げる
⑤周りの人を攻撃的にする
◯職場で誰かから無礼な態度を取られている人の対応
(17業界・800人の管理職・従業員へ調査)
・48%の人が、仕事にかける労力を意図的に減らしている。
・47%の人が、仕事にかける時間を意図的に減らしている。
・38%の人が、仕事の質を意図的に下げている。
・80%の人が、無礼な態度を気に病んでしまい、そのせいで仕事に使うべき時間を奪われている。
・63%の人が、無礼な態度を取る人を避けるために仕事に使うべき時間を奪われている。
・66%の人が、自分の業績は低下していると答えている。
・78%の人が、組織への忠誠心が低下したと答えている。
・12%の人が、他人の無礼な態度が原因で転職したと答えている。
・25%の人が、無礼な人にストレスを感じたせいで、顧客への対応が悪くなることがあると答えている。
◯礼節がもたらす5つのメリット
①仕事が得やすい
②幅広人脈が築ける
③出世の可能性が高まる
④礼節ある上司のチームは高い業績を上げる
⑤礼節ある経営陣は従業員に安心感を与える
◯礼節ある人が守る3つの原則
①礼節ある人は笑顔を絶やさない
②礼節ある人は相手を尊重する
③礼節ある人は人の話に耳を傾ける
◯ワンランク上の礼節を身につけるための5つの心得
①与える人になる
②成果を共有する
③褒め上手な人になる
④フィードバック上手になる
⑤意義を共有する
ちょうど、主催しているオンラインサロンで、「五徳(仁義礼智信)」をテーマとして取り扱っており、そのうち「義」について、本書と通じるところがあるかと思って読んでみました。中国古典の「義」とはまた違い、現代の身近なテーマにフォーカスしている分、とっつきやすいと思います。