『心で勝つプレゼン』(福島正伸)
著者は、本書が発売された2013年時点で、25年以上の経歴と研修実績約7500回、延べ受講者30万人以上という驚異的な経験値を持つ方で、2007年からは、夢が成功した時の最高の魅力(価値)を10分でプレゼンする「ドリームプランプレゼンテーション」(ドリプラ)を開催されています。
本書は、10分で聴き手を共感者にするプレゼンのノウハウが書かれています。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇共感者になりうる人びと
・「うまくいくかどうか」よりも、「一緒にやりたいかどうか」を見ている。
・事業計画書は共感した人がワクワクしながら出番を探すために見る。
・人は説得されると思ったら、言われたことの欠点を探して反論する。
・危機感や同情で人を動かしても長続きしない。
〇共感が生まれるために(夢の共感と人の共感)
夢が実現した時の光景をはっきりイメージすること。正解を探すのではなく、自分の感性に基づいて、遠慮なく理想を描くこと。伝えるべきは、「あれもできる、これもできる」といった機能ではなく、「こんな風に幸せになれる」という価値観。
〇最高の共感は、「感動の物語」と「あきらめない理由」
①「感動の物語」を創るときのポイント
人が幸せになるシーンの中に、その商品やサービスがどのように関わっているか。
見た人が、「私もこんな体験がしたい!」と心の底から思えるか
②「あきらめない理由」を考えていくことは、自分自身を深く掘り下げること
〇ストーリーづくり
①テーマ決め
大切なことは個性であり、それにこだわること。そこから自分ならではの魅力が生まれてくる。プレゼンターの思いがあふれた言葉で表現するのがベスト。
②印象に残るキーワードを決める
・最も伝えたいことは何か?
・どんな言葉を覚えて欲しいか?
・見た人が家族や仲間に伝えてほしいことは何か?
③テーマに基づいた物語を描く
他にはない特徴がリアルに感じられるようにテーマに基づいて描く
④「きっかけ(体験)」をまとめる
キーワードをプレゼンターの「あきらめない理由」とつなげる
〇起承転結
・起:物語の始まり。状況設定。
・承:物語が推移する。深堀する。
・転:新しい出来事が起こる。話の流れが変わる。
・結:すべてが一つにつながる。物語の集結。
〇伝え方の留意点
・形容詞や副詞など、便利な言葉は伝わらない。
・できる限り、専門用語は使わない。
・写真は、1スライド1枚。
・スライドの基本は、無意識に見ているだけですべてが分かるように、見ている人に考えさせない(できるだけ文章は出さない、読ませない、考えさせない)。世界観に浸らせること。
〇伝説の写真
人に勇気を与えるのは、どん底から這い上がる姿。落ち込んでいるときに撮った写真は、将来、振り返った時の伝説の写真になる。
〇大舞台でも堂々とするために
①価値:「夢」が実現した時の「価値」をはっきりとイメージできている
②決意:「あきらめない理由」が明確にある
③仲間:プレゼンに向けて努力する中で真の仲間ができる
〇著者の「私の10カ条」
①まずは私がやる、先頭に立つ
②ピンチはチャンス。前向きな言葉のみを使う
③問題あるところに生きがいを見出す
④手法は100万通り、あきらめない
⑤何気なくやらない、人類のためにやる
⑥人を信じ、夢を信じる
⑦最大の困難に、笑顔で挑む
⑧他人とは、感謝で付き合う
⑨人生のすべてを楽しむ
⑩最大の報酬は、感謝の涙
著者の主張である、「あきらめない理由」を考えることは、信念を考えることであり、自分を深く掘り下げること。でも、その前に、「あきらめない」と言えるほど、追いかけている夢があるかどうかという部分。私は、大学院で「志」の話になったときに、言語化に困っているタイプなので、まずは、「自分は何にこだわりを持っているのか」「大事にしている価値観は何か」、そのあたりから改めて考え直してみたいなと思いました。
そのプロセスとして、「私の10カ条」を考えてみることはおもしろいなと思います。10カ条として価値観を突き詰めていくと、自分の信念の言語化に近づけるのではないかと思います。