『職場を幸せにするメガネ』(小林嘉男)(〇)
「働きがいのある会社」ランキングTOP10常連の(株)ディスコの現役経理部長が執筆された職場づくりの実践本です。著者とはライブ講師でお付き合いさせていただいていますが、仲間内ということを差し引いて見ても、これは良い本だと思います。
「鬼上司」「冷徹人間」と部下から言われた著者が、アドラー心理学やコーチングと出会い、自らを変え、職場の雰囲気を変えていった具体的な取組みを知ることだけではなく、自分自身と照らしたときにいくつもの反省材料を貰えるような、内省本としても有効です。「すべてのリーダーに」という著者の思いが伝わってくる一冊です。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇幸せな職場と不幸な職場の違い。
それは「人間関係」。頑張っていないリーダーなんて一人もいない。そして、あなたが頑張っているのと同じように、実は部下も一生懸命頑張っている。必要なことはたった一つ。「あなたのメガネ」をかけ替えること。
〇「鬼上司」「冷徹人間」時代
口グセは「ロジックおかしいよね」「これってMECEじゃないよね」。言われた部下は正論なので何も言い返せない。やがて部下は意見を言わなくなっていった・・・。
馬車馬のように必死に働き、部下にも同じやり方を求めた。そうやって頑張れば頑張るほど職場は崩壊していった。
〇部下を幸せにするのが上司の役割
リーダーは幸せの専門家であり、誰もが人生の主人公。
「部下を鍛えるのが上司の役割」と思っていた時には部下の足りないところばかりが目についた。「部下を幸せにするのが上司の役割」と思い始めると、「彼ら、彼女らにとっての幸せってなんだろう?」という問いが自然と生まれてきた。
〇職場の幸せとアドラー心理学
①認知論:あなたのかけている「メガネ」をかけ替えることからスタート。
②共同体感覚:「個人が幸せな状態」「集団が幸せな状態」を理解する。
・人は信頼できる(他者信頼)
信頼できる仲間と働く職場だからこそ、貢献しよう、頑張ろうと思える。
・私は貢献出来る(他者貢献)
貢献が認められれば、嬉しくて、さらに頑張ろう、もっと職場に貢献しようと思う。
・自分が好き(自己受容)
自分自身の価値を自分で認めることができるようになる。
③目的論:部下のどこに意識を向ければいいか。
・「本当はどうなりたかったのか?」という質問。「本当は」の部分に目を凝らし、耳を澄ますこと。結局のところ、リーダーが何をするかよりも、部下がどのように受け取るかが大切。
④勇気づけ:部下とどんなコミュニケーションをとればいいか。
・「褒めるも叱るも勇気くじき」。コミュニケーションで部下の内側から湧き上がるものがあり、その結果として部下の共同体感覚が強まればそれが勇気づけ。「部下一人ひとりが本当はどうなりたくて、どんな価値観を大切にしたいの」かを大切にしながら一人ひとりと対話する。いちばん最初に取り組むのは、リーダーが「部下を幸せにする」というメガネをかけること。
〇組織の成功循環サイクル(MIT ダニエル・キム教授)
・グッドサイクル
「関係の質」⇒気づき・当事者意識⇒「思考の質」⇒自発的・チャレンジ⇒「行動の質」⇒成果があがる→「結果の質」⇒信頼・尊重・認め合う
・バッドサイクル
「関係の質」⇒面白くない・受け身⇒「思考の質」⇒消極的・保身的⇒「行動の質」⇒成果があがらない⇒「結果の質」⇒対立・押しつけ・命令・指示
〇幸せな職場のつくり方
①リーダーとしての思いを明確化する
職場は船、リーダーは船長。「なぜそのような航海をしたいのか」を特に大事にしながら思いを固め仲間に発信する。
②組織として大切にすることを共有する
ミッション、ビジョン、バリュー、行動指針。「使うために作る」を念頭に置いて、仲間たちと共に作成する。
③お互いを知り、信頼関係を構築する
聞く、伝える、フィードバックするの3段階で実践する。
④動き出す仕組みをつくる
相互理解の場を作る。著者の例:朝礼、チームリーダーとの週次面談、部下全員と毎月面談、毎月の部会。
〇職場の結束力を高める4つのキーワード
①感謝、②寛容、③楽しむ、④「Yes,and」
著者のFacebookを拝見すると「めちゃめちゃいい笑顔」の写真がいっぱい。職場の動画を拝見したときは、まさに「幸せな職場」全快。部長職でこんなに慕われているなんて何て羨ましい!と思いました。「鬼上司」から「幸せを作りだす上司」へ。失敗に気付き、自分を変え、職場を変える努力。やればできる勇気を頂きました。
職場を幸せにするメガネ 〜アドラーに学ぶ勇気づけのマネジメント〜
- 作者: 小林嘉男,発行:まる出版
- 出版社/メーカー: サンクチュアリ出版
- 発売日: 2016/04/15
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