MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

ビジョナリー・カンパニー(ジェームズ・C・コリンズ他)<2回目>

『ビジョナリー・カンパニー』(ジェームズ・C・コリンズ他)(〇)<2回目>

 1995年発売の名著シリーズ第1弾です。久しぶりに読み返してみましたが、20年以上経っても変わらない良さがあります。本書は、業界の金メダリスト(ビジョナリー・カンパニー)が銀・銅メダリスト(比較企業)と比べて何が違うのかを研究した結果がまとめられています。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇ビジョナリー・カンパニー

・業界で卓越した存在

・見識のある経営者や企業幹部の間で広く尊敬されている

・社会に消えることのない足跡を残している

・CEOが世代交代している

・主力商品・サービスのライフサイクルを超えて繁栄している

・1950年以前に設立されている(設立後概ね50年を超えている)

 

〇本書から得られる教訓

①時を告げる預言者になるな。時計をつくる設計者になれ。

②「ANDの才能」を重視しよう。

③基本理念を維持し、進歩を促す。

④一貫性を追求しよう。

 

〇時を告げるのではなく、時計をつくる

・素晴らしいアイデアをもっていたり、素晴らしいビジョンを持ったカリスマ的指導者であることは、「時を告げること」。一人の指導者の時代を遥かに超えて、いくつもの商品のライフサイクルを通じて繁栄し続ける会社を築くのは「時計をつくること」。

・アイデアはあきらめたり、変えたり、発展させることはあるが、会社は絶対にあきらめない。

・ビジョナリー・カンパニーが素晴らしい製品やサービスを次々に生み出しているのは、こうした会社が組織として卓越しているからにほかならず、素晴らしい製品やサービスを生み出しているから素晴らしい組織になったのではない。

 

〇利益を超えて

・基本理念の力が比較対象企業よりもはるかに強い。

・ビジョナリー・カンパニーの理念に不可欠な要素はない。理念が本物であり企業がどこまで理念を貫き通しているかの方が、理念の内容よりも重要。

・ビジョナリー・カンパニーは、比較対象企業に比べて、基本理念を公言する傾向がはるかに強い。人々はある考え方を公言するようになると、それまではそうした考えを持っていなくても、その考え方に従って行動する傾向が際立って強くなる。

・ビジョナリー・カンパニーは理念を宣言しているだけではない、理念を組織全体に浸透させ、個々の指導者を超えたものにするための方法も取っている。

⇒カルトに近いほど強力な文化を生み出す、経営陣を慎重に育成し選別する、目標・戦略・戦術・組織設計などで基本理念との一貫性を持たせている。

・基本理念=基本的価値(組織にとって不可欠で不変の主義)+目的(会社の根本的な存在理由)

 

〇基本理念を維持し、進歩を促す

・基本理念を、文化・戦略・戦術・計画・方針などの基本理念ではない慣行と混同しないことが、何よりも重要。

・少なくともビジョナリー・カンパニーになりたいのであれば、基本理念だけは変えてはならない。基本理念を維持しながら進歩を促す。

 

〇社運を賭けた大胆な目標(BHAG)

・BHAGと呼べるのは、その目標を達成する決意が極めて固い場合だけ。

・自社には将来にわたって大胆な新目標を次々と設定していく能力があるだろうか?

・BHAGは会社の基本理念をはっきりと示すものでなければならない。実際、BHAGは、基本理念を維持する重要な仕組みの一つ、「カルトのような文化」を強化するものになり得る。

 

〇カルトのような文化

・ビジョナリーとは、やさしさではなく、自由奔放を許すことでもなかった。ビジョナリー・カンパニーは自分たちの性格、存在意義、達成すべきことをはっきりさせているので、自社の厳しい基準に合わない社員や合わせようとしない社員が働ける余地は少なくなる傾向がある。

・カルトとの共通点‥①理念への熱狂、②教化への努力、③同質性の追求、④エリート主義

・カルトのような文化は、基本理念を維持するものであり、これとバランスをとるものとして、進歩を促す強烈な文化がなければならない。ビジョナリーカンパニーでは、この2つが相互補完の関係にあり、互いに強化しあっている。

 

〇大量のものを試して、うまくいったものを残す

・3Mを手本にするなら、ビジョナリー・カンパニーが進化による進歩を促すにあたって学ぶべき教訓

①試してみよう、なるべく早く。

②誤りは必ずあることを認める。

③小さな一歩を踏み出す。

④社員に必要なだけの自由を与えよう

⑤重要なのは仕組みである。着実に時を刻む時計をつくるべきだ。

 

〇決して満足しない

・ビジョナリー・カンパニーが飛び抜けた地位を獲得しているのは、主に、自分自身に対する要求が極めて高いという単純な事実のため。

・安心感はビジョナリー・カンパニーにとっての目標ではない。それどころか、ビジョナリー・カンパニーは不安感を作りだし、それによって外部の世界に強いられる前に変化し、改善するよう促す強力な仕組みを設けている。

 

〇まじまりの終わり

・一貫性を達成するための指針

①全体像を描く

 ビジョナリー・カンパニーは基本理念を維持し、進歩を促すために、一つの制度、一つの戦略、一つの戦術、一つの仕組み、一つの文化規範、一つの象徴的な動き、CEOの一回の発現に頼ったりはしない。重要なのは、これらすべてを繰り返すこと。

②小さなことにこだわる

 従業員に強い印象を与え、力強いシグナルを送るのは、ごく小さなことであり、この点を確認しておくべき。

③下手な鉄砲ではなく、集中砲火を浴びせる

④流行に逆らっても、自分自身の流れに従う

 正しい問いの立て方は「これは良い方法なのか」ではなく、「この方法は当社に合っているのか、当社の基本理念と理想にあっているのか」である。

⑤矛盾をなくす

⑥一般的な原則を維持しながら、新しい方法を編み出す

 定評のある方法を使い、新しい方法を考え出す。どちらもやるべきである。

 

 さすが読み継がれている名著シリーズ。まずは基本理念に関わる部分だけも線だらけになりました。事例も満載であり、かなり具体的なイメージとして理解できる良書でした。 

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

 

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