『社員が惚れる会社のつくり方』(舞田竜宣)<2回目>
グロービス経営大学院の舞田先生の著書です。OBH(組織行動とリーダーシップ)を受講した際に読んで以来2回目。幸せな職場をつくり、社員のパフォーマンスを高めるカギは何か。人の心に焦点をあてた経営を実践することで、会社の「気」が生まれ、強い会社がつくられる。本書は、「エンゲージメント」というコンセプトとエンゲージを高めるための「非金銭的報酬」などのマネジメントについて事例をまじえながらまとめられています。
(印象に残ったところ・・本書より)
・コミュニケーションに言語が占める割合は7%、38%が口調などの音的要素、55%が身振りや表情とかのビジュアル要素。
・コミュニケーションの全てをメールに頼る職場では、言語以外の93%のコミュニケーションが失われている。コミュニケーションが減ったというのは、まさにそのこと。
◯道具より絆を大切にする会社が人を大切にする
・経営の道具を正しく使い、すべての人が報われ、幸せになるためには、「思想」に裏打ちされた、経営の「方針」が必要。その深い想いが明確にあれば、道具をどう活かして使うかがおのずと見えてくる。
◯エンゲージメント(絆)経営とは
①社員が幸福で、
②会社に愛着を持ち、
③成果を挙げて貢献しようと思うこと
→幸福+愛着+成果貢献
◯婚約はいつでも解消されうる。会社も個人も常に魅力的であれ
・婚約も雇用も、本質的には任意契約に過ぎない。常に誠実に勤勉に、そして自分の魅力を高めようと頑張る人しか、相手(会社)のエンゲージメントを確保することができない。エンゲージメントとは、そうした緊張関係を根底にはらんだもの。
◯エンゲージメントを左右する5つの要素
①オーガニゼーション
・組織構造
・制度、ルール
・組織ブランド
②リレーション
・経営
・職場
・顧客
③ワーク
・仕事の面白さ
・仕事の意義
・プロセス、リソース
④キャリア
・成長
・成功
・展望
⑤ライフ
・労働環境
・報酬
・私生活
◯オーガニゼーション
①組織構造
・必要以上に階層が多いと、働く人のエンゲージメントが強まりにくい
・階層の多い組織では、トップと現場の距離が遠くなり、一体感が失われ、理解と共感が生まれにくくなる。
・組織構造は、少なくとも、1)事業の領域、2)業務のプロセス、3)社員の動きの視点から考える
②評価制度
・日本人の感覚では、いわゆる偉い人や尊敬に値する人が社内で高い評価を得るべきだと思われている。一方、外国の多くの人々にとって、評価制度はゲームのルールに過ぎないので、人間として偉いとか尊敬に値するなどということと評価は関係ない。
・ルールを所与のものとして、その下で自分がいかに特をするのか、勝者になるか、生き残るかを考える諸外国の人々と異なり、日本人は、人としてのあるべき姿にルールを合致させようとする。あるべき姿とルールが合っていないと感じられれば、社員は会社を信用しなくなるかもしれない。
◯リレーション
・「徳の高い者には位を、功績の多い者には報酬を」(西郷隆盛)
・金銭的な報酬は、個人業績を厳正に測り、その結果で決めれば良い。管理よくより稼ぐプレイヤーがいても良い。ですが、昇進に関しては、周囲のリレーションを重視して決めないと、職場全体のエンゲージメントが下がってしまいかねない。
・横軸に日付、縦軸にリレー4を維持強化すべき相手を書いた「コミュニケーション・ログ」を活用する。毎日自分が少しでもコミュニケーションをとったら、その相手の欄に◯を記入する。
◯キャリア
・企業内大学で社員の成長を促すことで蛸壺の中の切磋琢磨ではなく、いわば社内における他流試合の機会を設けることになるので、非常に良い刺激になる。トップ層から直接学ぶ機会もある。
◯報酬
①金銭的報酬
・行動心理学的に見ると、社員が一生懸命に働くためには、行動の直後(60秒以内)に報酬が与えられることが極めて重要。企業業績を集計してから社員に与えられるのが会社における報酬だとするなら、会社では心理学的に有効な報酬は与えることができないということになる。
②非金銭的報酬
1)感謝
・できるだけ早く伝える(60秒以内)
・こまめに、具体的に示す
・気持ちを込めて伝える
2)ワーク・ライフ・バランス
・労働強化を防ぐ管理職教育が必要
・副業から複業の時代へ
3)文化
・ウェイマネジメントの浸透
4)成長
・教育研修
・社員が好きな仕事を究められる
・学びあえる仲間がいる
・メンターがいる
5)環境
・笑いは最高の職場をつくる
いい職場ってどんな職場だろうと思うことがたまにあります。決して、楽ということがいい職場ではなく、「メンバーとコミュニケーションが取れて、自分の存在価値が認められ、自分は成果を出して貢献しながら成長実感できる」というような感じでしょうか。そんな職場を作りたいと思って行動し続けると、不思議なもので、だんだんそうなってくるように思います。それをチーム単位から職場単位、やがて企業単位への自分ができる領域を広げていきたいものです。