『ムダにならない勉強法』(樺沢紫苑)(◯)
要領よく効率的に勉強したい。仕事と自己成長に直結する学びを実現するための本書。ベストセラーを連発されている著者自身が膨大なインプットとアウトプットを高回転で実践されており、精神科医としての科学的な裏付けもあり、だからこその納得感のある一冊です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯ドーパミン幸福論
・プチ改善、プチ成果の積み重ねで、十分ドーパミンが出る。つまり、自己成長の過程で、人間は一番幸せを感じる。私たちが幸せになる方法、それは「自己成長する」こと。成果を記録することは大切。
◯「楽しい」はアクセル、「辛い」はブレーキ
・好きなことをやっているとドーパミンが分泌される。ドーパミンには、集中力を高め、記憶力を強化する働きがある。
・嫌いなこと、辛いことをやらされると副腎皮質からストレスホルモンであるコルチゾールが分泌される。コルチゾールは海馬の最大の敵。重度のストレスが長期間続くと、海馬で新しい神経細胞が作られなくなり、海馬の細胞自体が破壊される。
◯とりあえずで勉強はやってはいけない
・とにかく勉強を開始する前にターゲットを明確に思い描くこと。目的のはっきりしない「とりあえず勉強法」は時間とお金を無駄にするだけ。
◯守破離勉強法
・守:師についてその流儀を習い、その流儀を守って励む
・破:師の流儀を極めた後に他流を研究すること
・離:自己の研究を集大成し、独自の境地を開いて一流派を編み出す
→まずは基本を徹底的に真似て、しっかりと復習する。次に基本を踏まえた上で、他の方法や色々なパターンを試してみる。最後に「自分流」を確立する。
◯成長の螺旋階段の法則
・自己成長を引き起こす法則とは?まずインプットをする。インプットをしたらアウトプットをする。アウトプットをしたらインプットをする。インプットとアウトプットをどんどん繰り返すことによって、螺旋階段を上るように自己成長する。
・「作家になりたいのなら、絶対にしなければならないことが二つある。たくさん読み、たくさん書くことだ。私の知る限り、その代わりになるものはないし、近道もない」(米国ベストセラー小説家・スティーヴン・キング)
◯自己成長出力比例の法則
・読んだ本の感想が言えないレベルでしか本を読んでいないとするならば、それは本を読んでいないのと同じ。
・自己成長はインプットの量には比例しない。アウトプットの量に比例する。
◯勉強の黄金比、3対7の法則
・インプットの2倍強の時間をアウトプットに投入せよ。
◯入出力勉強法4つのステップ
①勉強する前に「概観」する
②インプットをする
③アウトプットをする
④フィードバックをする
◯概観する
・全体像を概観する。「鳥の目」になって流れを掴む。
・「今は全体のこの辺りを勉強している」と前後の関連性が掴みやすくなり、記憶に残りやすくなる。
・何か新しいことを勉強しようという場合、まずは入門書を読んで全体像を把握することをお勧めする。
・パーティー会場ではそれぞれの人が何を話しているのか聞き取れないが、自分の名前が会話の中に出てきた瞬間、そのグループにパッと目がいく。
・特定のキーワードを意識し、普段から自分の興味・関心の領域を明確にしておくことで、初めて有益な情報がキャッチできる。
◯気づきは3個まででOK!
・講演やセミナーに参加した場合、本を1冊読む場合、3個だけ「気づき」が得られれば十分。
・ただ聞くだけの消極的受講と、考えながら聞く積極的受講の人では、インプットの質が全く異なる。質問を考えながら聞くこと。
◯アウトプットの5つの極意
①アウトプットとは「運動」である。書くこと。
②1週間で3回アウトプットする。
③積極的に自分を「テスト」する。丸ごと再生勉強法。まとめノートを1ページ丸ごと、何も見ずにそのまま思い出しながら紙に書く。
④「気づき」は瞬時に記録する。
⑤ノートの取り方で全てが決まる。レジュメにメモを取ると何度も復習することが困難になる。セミナー受講時は、見開き2ページに収める。
◯次の一歩勉強法
・疑問、好奇心、知的欲求が湧いてくると、それをエネルギーとして、その疑問を解決する方向で、次の一歩を踏み出せば、インプットは深まる。
・参考図書こそホームラン本の宝庫。数珠つなぎ勉強法。
◯フィードバック4つの極意
①勉強には、長所伸展と短所克服がある
②「広げる」と「深める」
③「なぜ?」を考える
④コーチのフィードバックを受ける
◯10年継続勉強法
・続けるための奥義は、「続ける」なんて考えないこと
・続けるとは過去の結果に過ぎない。続けようと未来に向けて考えると精神的負担になる。「今日1日だけやればいい」と思えば楽。とりあえず、今だけやる。全力でやる。「今にコミットする」。
私も効率的で効果を出すための勉強法は長く継続してきたつもりでしたが、本書を読むと著者の探求と裏付けと整理力が素晴らしく、とても得るものが大きく、刺激になりました。私は、死ぬまで成長は続くと思っており、 その間どこまでいけるのか?時間は有限だからこそ、積み重ねるものの質を高めていきたいなぁと思っています。そういう意味でもとても役立つ一冊でした。