起業のリアル(田原総一朗×若手起業家)
『起業のリアル』(田原総一朗×若手起業家)
中断していたベンチャーマネジメント関連の書籍をようやく読み切りました。
本書は、田原総一朗氏と若手起業家16名の対談集です。起業家の志やビジョンに田原総一朗氏がいつもの口調で、理想とビジネスの現実にガンガン切り込み本音を聞き出すという興味深い内容です。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇森川亮(LINE社長)
野球は計画的。サッカーは状況に応じてパスもシュートも自由。ゴールキーパーがシュートを打ってもいい。僕たちのように変化が速い会社は、野球よりサッカーのほうが似合っている。音楽でもクラシックよりジャズの即興に近い。
〇前澤友作(スタートトゥデイ社長)
ZOZOTOWNがメーカーから信頼されているのは、①サイトのデザインがいいとか写真がきれいという見た目の問題、②売っている人が洋服のことを理解しているか、ブランドのことをどれくらい好きでいてくれるのかという、目に見えない部分。
〇猪子寿之(チームラボ社長)
今はメールで情報を伝えたり、集めたりできるようになった。そうすると管理職なんていらないかもしれない。プロジェクトをマネジメントする人を決めるが、プロジェクトが終わればその人はマネジャーではなくなる。
〇駒崎弘樹(フローレンス代表)
僕らが発展するだけでは意味がない。「おうち保育園」を9園やっているが、待機児童を減らすには何千という園が必要で、そのためには、いろいろな参入プレイヤーが入ってきて、業界全体で発展していったほうがいい。
大きく伸びるベンチャービジネスの3つの要件。①みんなが使っているものを対象とせよ、②みんなが煩わしさを感じているものを対象にせよ、③技術革新や規制緩和でその煩わしさを取り除く可能性のあるものを対象とせよ。
〇村上太一(リブセンス社長)
統計学はロジックを説明するときに便利。ただ、過去の常識をもとにしているので、未来を予測して新しいものを生み出すということには向かないかも。私の場合は、むしろ確率論を超えていくところに興奮を覚えます。そもそも成功の確率を考えていたら起業なんてできない(笑)。
〇岡崎富夢(innovation社長)
逆説的ですが、信用されたいと思わないことを心掛けています。僕たちのビジネスって100人に1人くらいしか信じて買ってくれないと思う。すべての人に信用されるのは最初から無理なので、本当に心の底から思っていることだけを伝えて、分かってもらえる人だけに分かってもらえたらいいかと。
〇守安功(ディー・エヌ・エー社長)
私たちは、自分自身を「永久ベンチャー」と位置付けています。つまりこれからも新しい事業を作っていくし、いまある事業も変えていく。
〇藤田晋(サイバーエージェント社長)
いい時に傲慢にならないことが大事。良いときってプライドがすごく高くなったり、結構いろんな人を怒らせてしまう。短期的な評価に満足して、長期的に手を打っておかなきゃいけないことをやらなかったりする。そういうことがないように、僕自身も戒めているし、社内でもそう言っています。
起業家の方々の志を実現する考え方は千差万別。それぞれに、理想と現実を橋渡しする想いや熱意、考え抜いている姿勢が素晴らしいです。それにしても、田原総一朗さんのツッコミが鋭すぎて、対談といっても、「うっ!」と言葉に詰まってしまいそうな雰囲気が伝わり、恐らく気が気ではなかっただろうなと想像してしまいました。