新・オタク経済(原田曜平)
『新・オタク経済』(原田曜平)
著者は、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーで、『さとり世代』や『ヤンキー経済』などの著者としても有名な方です。本書は、かつてのオタク(電車オタクのような・・)と現在のライトオタクとの消費性向の違いを中心に、現代流のオタクを解き明かしていく一冊です。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇オタクの市場規模(矢野経済研究所)
・約3600億円(2007年)→約7700億円(2010年度)→約9000億円(2011年度)→約1兆円(2013年度)
・アニメ:10万円(2004年)→約25,000円(2013年度)
・アイドル:75000円(2004年)→約95,000円(2013年度)
・マンガ:10万円(2004年)→約16,000円(2013年度)
・ゲーム:10万円(2004年)→約80,000円(2013年度)
〇リア充オタクの増加
「リア充」の若者と外見的に何ら見分けのつかないオタク若者が増加。それは、「オタク」というパーソナリティ属性を、自分を特徴づけるキャラとして利用し、対人コミュニケーションのツールとするようになってきた。ヤンキーがマイルドヤンキー化したように、オタクもマイルドオタク化したようなもの。
〇リア充オタクの特徴
①物を買わないオタクもいる
音楽のデジタルコピー、放送のHD化(画質も録画で十分)、書物を買わなくてもネット検索で十分、部屋が狭くなるくらいならマンガはマン喫で十分。
②おしゃれなオタクもいる
お金の投資先がオタク活動に一極集中しなくなった。オタクをパーソナリティとしてポジティブに活用しているため、必然的にファッションセンスはリア充よりになる。対面型イベントの増加。ファストファッションの普及、アニメキャラが現実的なファッションアイテムを身に着けるようになった。
③発信型のアクティブなオタクもいる
SNSへの投稿・拡散、ニコ動などの動画投稿サイトの普及、オタクイベントのライト化(コスプレイヤー・観客共に年齢の幅が広がった)
〇かつてのオタクとの比較
かつてのオタクは・・・
①アニメ・ゲームの特定分野に詳しい
②好きな作品のパッケージ商品、グッズ、コミックにお金を使う
③オタク活動に充てる時間が多い
→昔のオタクは作品を愛していたからオタクになったのに対し、今のライトなオタクは、オタク知識がコミュニケーションになるからオタクになった人が多い。
〇オタクの変遷
①オタク第一世代(1970年代中期から80年代前半のアニメブーム)
教養主義で選民意識が高い。愛する作品が世で認められるには、オタクたち自身が他の大人たち向けに、たくさんの理論武装をする必要があった。
②オタク第二世代(1980年代末~90年代のアニメ・ゲームブーム)
オタク文化に対する誇りと鬱屈。映像機器の普及からDVDコレクターである。オタク男性に対する良くないイメージが社会的に高まった時期でもある。
③オタク第三世代(2000年代初期)
インフラとして整備されたインターネットの恩恵を最初から受けた世代。物の所有に対する執着が希薄になった。
④オタク第四世代(2000年代半ば~)
高いコミュニケーション力を持ち、人間関係係数が多い、リア充世代。
〇オタク4タイプ
「オタクを隠す⇔オタクをアピールする」×「社交的×非社交的」のマトリックスで考える。
①オタクをアピール×社交的=リア充オタク
②オタクをアピール×非社交的=イタオタ
③オタクを隠す×社交的=隠れオタク
④オタクを隠す×非社交的=残存ガチオタ
と、オタク話は尽きませんが、本書ではこの後さらに、オタクを分類し、それぞれの特徴を見ていきます。例えば、リア充オタ男、リア充オタ女、ジャニオタ、エセオタ、ドルオタ、隠れオタ、ディズニーオタ、イタオタ、腐女子、オタサーの姫、ガチオタ、地方オタ・・・。オタクもいっぱいありますね。
こうしてみると、ネット、スマホで社会が変化するにつれ、オタクも随分変化を遂げ、一般化していますね。