内向型を強みにする(マーティ・O・レイニー)
『内向型を強みにする』(マーティ・O・レイニー)(◯)
これはいい本でした。1,300円+税でこの中身はコストパフォーマンスも高いです。世の中の75%は楽天的で活発な「外向型人間」。残りの25%は大勢の人といるのが苦手な「内向型人間」。この2つのタイプは、どっちがいいというわけではなく天性のもの。エネルギーの取り込み方、刺激に対する反応、情報や経験に対するアプローチが違うだけ。コミュニケーションギャップが生じる理由になる程感もあり、今後の対話に役立ちそうな一冊でした。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯内向型の人とは
・臆病者でも、はにかみ屋でも、自己に埋没した一匹狼でも、シャイであったり反社会的であるわけでもない。自己中心であるどころか、むしろその正反対であることが多い。
・多くの付き合いは必要としないが、より親密な強い結びつきを好む。
・外向型との違い
①考えがまとまるまでは話さない
②アピールが下手
③慎重さが外向型のやる気を削ぐ
◯パートナーとの関係
①内向型の男性と外向型の女性「彼と一緒にいるとイライラしちゃう」
・この組み合わせは、社会的条件づけに逆らっている。多くの場合、内向型の男性は、外向型の女性に圧倒され、脅威を覚え、無視されていると感じる。
・一方、外向型の女性は、内向型の男性の静かな性格を、弱気で、従属的で、頼り甲斐がないと思い込む。
・二人は、自分たちの関係に寂しさや物足りなさを感じる恐れもある。
・この組み合わせも問題を解決することはできるが、お互いの持って生まれた気質を変えることはできない。まずは、二人の関係をテーマとする話し合いのスケジュールを組むこと。
②内向型の女性と外向型の男性「いつも私ばかりが振り回される」
・多くの場合、外向型の夫は、外向的欲求を仕事によってほぼ満たされ、帰宅する頃には休憩したくなっている。そのうえ、彼は親密な会話が苦手。
・これに対して、内向型の妻は、自分の内向的欲求を夫によって満たそうとする。彼女にとって、夫は楽になれる相手。彼女は親密な会話を求めている。そのため、傍から見ると、まるで内向的なのは夫、外向的なのは妻であるかのように見える。
③内向型と内向型「心地いいけど、退屈だわ」
・内向型同士の関係では、一方、または双方が鈍麻し、生気を失う恐れがある。なんでも一緒にするのに慣れてしまうと、余暇を別々に過ごすのには勇気がいる。少々飽きてはいても、パートナー抜きで何かを始めようとすれば、不安を覚える。
・長いことべったりくっついていたカップルが、病気、子供の問題、失業などのストレスに見舞われると、すべてが崩壊しかねない。内向型同士のカップルは、何かことがあるまで、自分達の問題に目をつぶっていることが多い。一旦ぬるま湯からはじき出されると、通常こうした関係は木っ端微塵に吹っ飛ぶ。
◯内向型の我が子を理解するために
①プライベートな時間を与える
②プライベートなスペースを与える
③ゆっくり考える子供をゆっくり待つこと
・内向型の子供を持つ親はひどく心配する。内向型の子供は外向型の子供ほど感情を表に出さないかもしれない。親を愛し、大事に思っていても、彼らはそのことを言葉にしないだろう。自分の気質と我が子の気質を受け入れよう。
・内向型の子供は怒りや非難にかなり敏感。彼らを人前で叱ってはいけない。事務的に何がいけなかったのかを本人に伝えよう。
◯外向型の我が子を理解するために
①話す相手を確保させる
②意見や感想を与える
③声に出して考えさせる
④常に活動的に、そしてときどき静かな時間を
◯人付き合い
・社交的な集まりは内向型の人に不安や疲弊感をもたらす。それは、大量のエネルギーが求められるから。出かけるための準備において、前もっといろいろ考え、あれこれ想像を巡らす傾向があり、きっと疲れるだろう、居心地悪さや不安を感じるだろうと思う。
・内向型の人のほとんどは、その場の空気に慣れるまでに長い時間を必要とする。すべてが脳への過剰な負担となりうる。
・物理的に大勢の人、友達や敵に取り巻かれているだけで、内向型の人のエネルギーは枯渇する。
・内向型人間が社交で成功する7つの戦略
①イソギンチャク作戦(会場内を彷徨い歩くよりも、自分の岩(場所・席)にくっついて座っている方がずっと心地よい。遅かれ早かれ、きっと誰かが漂ってくる)
②自信があるフリをする(話を聞くことができる、話を聞いた後に反応することができる、など)
③小道具できっかけ作り(小道具の効用は、あなたではなく小道具に注意を引き付けること)
④とにかく感じの良い顔で
⑤世間話
⑥ピンチを切り抜ける(深呼吸、トイレ休憩など)
⑦自分で自分を追い詰めない
◯電話恐怖症対応
・内向型の人のほとんどは、電話を次のように見ている。
①エネルギーを奪い心の集中力を断ち切る迷惑なもので、集中力を取り戻す手間を生じさせる
②即席で考えることを要求しエネルギーを消耗させる
③内向型人間には快感のヒットを与えない
・対応策
①応答は留守番電話にさせ、話をする心構えができたら折り返しかける
②じっくり話したい相手でない限り、電話は短く切り上げる
③電話を取らない(ふるいにかける)
④メールを活用する
他にも仕事に関する章があります。内向型の性格を所与のものとして、どのように対処するのか。内向型の人はセルフマネジメントに役立ちますし、相手が内向型の場合の対処にも役立つ、内容でした。問題点が示されたあと、具体的にどう対処すればいいかが書かれているのが、行動に結びつきやすく良かった点です。