『スタンフォードの自分を変える教室』(ケリー・マクゴニガル)
2013年のベストセラー本。心理学である著者のスタンフォード大学での人気講座を書籍化したものです。抽象的な概念である「意志力」についての考え方を変え、行動に移して潜在能力を引き出すための一冊です。
■ひとことまとめ
自分の意思決定と行動に注意を向ける
(印象に残ったところ‥本書より)〇汝を知れ 意志力には、①やる力、②やらない力、③望む力がある。・できない理由を特定する・せめぎ合う「もう一人の自分」に名前を付ける・選択した瞬間を振り返る・マインドフルネス(吸って、吐いて、5分間呼吸に集中) 〇本能 意志力は、ストレスと同様、自分自身から身を守るために発達した生物的な本能。・なぜ、やりたくないことをしてしまうのかを明らかにする・ストレスでいかに自制心が落ちるかを試す・眠る(6時間未満の睡眠時間は脳を弱くする) 〇疲れ 自己コントロールは筋肉に似ている。使えば疲労するが、定期的なエクササイズによって強化できる。・意志力の増減を観察する(朝と夜では変化する)・疲労感を乗り越えられるか試してみる・お菓子の代わりにナッツを食べる・やるべきことと、やらないことを一つずつ決める 〇罪の正当化 自己コントロール力を向上させるには、道徳的な善し悪しよりも、自分の目標や価値観をしっかり見つめること・自分の言い訳を知る・後で取り返せると思っていないか(明日に回したことは本当にできているか)・正当化する誘惑のキーワードを見つける(ディスカウント、脂肪ゼロなど)・明日も同じ行動をすると考える(目標を叶える行動のばらつきをなくす) 〇脳は刺激を求める 脳は、満足感を求め、実際には満足感をもたらさないものでも必死に追い求める・ドーパミンの引き金を探す(報酬への期待を掻き立てるものは何?)・心を動かすものの正体を暴く(小売店での観察が役立つ)・欲望のストレスを観察する(何かが欲しいときのストレスやあせりに気付く) 〇気分の落ち込み 落ち込んでいると誘惑に負けやすくなる。罪悪感を拭い去れば、自信が持てる・恐れていることは何か(ストレスを感じるものに注意する)・つまずいたときの自分に「何」を言っているか・「決心するだけ」を楽しんでいないか・自分がいつどんな風に誘惑に負け、誓いを破りそうか観察する 〇将来を売り飛ばす行為 将来のことを思い描けずにいると、誘惑に負けたり物事を先延ばししてしまう・将来の報酬価値を低く見ていないか(将来の報酬をフイにしていないか)・万能の自分を待っていないか(今より意志力の強い自分を待っていないか)・どんな誘惑を感じても「10分」辛抱して待ってみる・割引率を下げる(長期的な利益を妨げる行為は将来の最高の報酬を諦める行為) 〇意志力はうつる 自己コントロールは他者の意志力にも誘惑にも感染する・感染源を発見する(仲間内に同じ意志力に関する問題に取り組む人は?・誰の真似をしているかに関心を向ける・誰の影響を最も受けているか・一日の始まりに数分間、自分の目標について考えてみる・目標を達成したらどんなに自分を誇らしく思えるか想像する 〇多重人格 私たちの中には、ひとりではなく何人もの自己が存在する。ひとりの人間の中には、目先の快楽に走ろうとする自己と、もっと大事な目標を忘れない自己が存在する。 自己コントロールを強化するために秘訣があるとすれば、科学が示しているのはたったひとつ、「注意を向けることがもたらす力」。 弱い自分を感じることってありませんか。できないことの言い訳を探す自分や、他の選択を正統化する理由を探す自分。ストレスよりも快楽を取りたいのは本能なのでしょうが、ツケは必ず将来に回ってしまう。自分を上手くコントロールして目先と将来の両面を自分なりにバランスよく考えて行動していきたいと思いました。
スタンフォードの自分を変える教室 (だいわ文庫) | ケリー・マクゴニガル, 神崎 朗子 | 本 | Amazon.co.jp