MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

ヤバい集中力(鈴木祐)

『ヤバい集中力』(鈴木祐)

 ハイパフォーマーは、一般人より400%を超す生産性を上げている。本書は、本能を「獣」、理性を「調教師」に喩え、両面にどのように働きかけると集中力が増すのか。これまでに10万本以上の科学論文を読み、600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねている著者ならではの、エビデンスのあるアプローチに興味を惹かれる一冊です。まだまだ謎の領域もありますが、今何ができるのかということを日常レベルで考えられる点が良いと思います。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯集中力とは

・集中力という能力は存在せず、「自己効力感」と「モチベーション管理能力」に分けられる。

・自己効力感とは、「自分は難しいことでもやり遂げられる」と思える心理状態。

・注意力の維持は、成人の限界は平均20分。この活動限界を伸ばすのは難しく、基本的に脳を効率よく使うスキルを学ぶしかない。

・無意識でうごめく無数の記憶に立ち向かうには、自己を律し続けるセルフコントロール能力が必要。

 

◯獣(本能)

①難しいものを嫌う(エネルギーの浪費を防ぐため)

②あらゆる刺激に反応する(1秒間に脳が受け取る情報は11,000件超)

③パワーが強い

 

◯調教師(理性)

①論理性を武器に使う

②エネルギー消費量が多い

③パワーが弱い

 

◯集中力向上のための3つの教訓

①調教師(理性)は獣(本能)に勝てない

②集中が得意な人など存在しない

③獣を導けば莫大なパワーが得られる。

 

◯カフェインの取り方

・150〜200mgのカフェインを飲むと30分で疲労感がやわらぎ、注意力の持続時間が向上する。

・カフェインの集中力アップ効果は、ベースラインから5%前後だと思われる。

・カフェイン摂取5原則

①一度にカフェイン400mg以上を飲まない(副作用で不安感、焦燥感の増加、頭痛、短期記憶の低下が見られる)

②コーヒーにはミルクかクリームを入れる(脂肪分はカフェインの吸収を穏やかにする)

③起床から90分はカフェインを飲まない(人間の体は午前6時ごろからコルチゾールという覚醒系のホルモンが分泌されるため、起きてすぐにカフェインを摂ると脳への刺激が強くなりすぎる。コルチゾールは起床から90分で減り始めるので、このタイミングでカフェインを摂るのがベター)

④米国陸軍開発のスケジューリングサービス「2B-Alet」を使う(詳細省略)

⑤緑茶に含まれるリラックス成分「テアニン」と一緒に飲む。同時に飲むと、カフェインだけ飲むよりも4%ほど集中力が上がる。

 

◯脳に良い食事を続ける超簡単な3つのルール「MIND」

①脳に良い食品を増やす

・全粒穀物、刃物野菜、ナッツ類、豆類、ベリー類、鶏肉、その他の野菜、魚介類、ワイン、イキストラバージンオリーブ

②脳に悪い食品を減らす

・バター、マーガリン、お菓子、スナック類、赤肉、加工肉、チーズ、揚げ物、ファストフード、外食

③カロリー制限はしない

 

◯食事日記

・毎日の行動を記録した方が、健康的な食事の量は増える。

・記録の回数は、多ければ多いほど食習慣は改善する。

 

◯報酬の予感

・スロットマシンがプレイヤーを虜にするのは、「ニアミス演出」(あとちょっとで絵柄が揃う・・・)と「スピード感」

・獣が最も強く反応するのは、報酬そのものではなく、報酬の予感。

・役に立つ「報酬の予感」を増やす

・役に立たない「報酬の予感」を減らす

・「難しい」「なんとか解けそう」「簡単」だと、「なんとか解けそう」が最も集中力が上がる。

 

◯報酬プランニング 基本設定シート

①ターゲット(集中力を高めたいタスク)

②重要度チェック(①の中で最も大事なものを選ぶ)

③具象イメージング(②をありありと思い浮かべる)

④リバースプランニング(達成した未来から現在に遡って短期目標を決める)

⑤デイリータスク設定(毎日やるべきタスクを考える)

 

◯報酬プランニング 実践設定シート

①デイリータスク選択(その日のタスク)

②障害コントラスト(発生しそうなトラブル)

③障害フィックス(トラブルに対応して取れそうなタスク)

④質問型アクション(私は、いつ、どこで、何をするか?)

⑤現実イメージング(達成プロセスを頭でイメージする)

⑥固定式ビジュアルリマインダー(④を思い出せるものを目に見える場所に置く)

 

◯儀式(ルーティン)

・「この動作をしたらひとや大事な作業に取り組む」と決めておく

・決めた手順を何度も繰り返す。

⇨達成バイアスで集中力が上がるのは、脳内ホルモンの分泌が原因。脳内にドーパミンが大量放出される。ドーパミンには、注意力やモチベーションを引き出す働きがある。

・「できた!」を繰り返すには、「記録」するのが良い。

⇨行動を変えたいときは「行動」だけを記録する。結果を出したいときは「結果」への過程だけを記録する

 

◯「5のルール」で小さな不快を重ねる(先延ばし対策)

・仕事を止めて休憩したくなったら、あと5分だけ続ける

・ふとスマホをチェックしたくなったら、あと5分だけ目の前の作業を続ける

・腹筋運動をやめたくなったら、あと5回だけ続ける

・読書に集中できなくなったら、あと5ページだけ読む

 

◯ピアプレッシャー

・集中力が高い人たちの中に紛れ込む

・熱心に勉強する人たちが集うカフェに行く

・同じ目標を持つ人たちがしのぎを削るコミュニティに参加する

・会社内のハイパフォーマーと友達になる。

 

  特に最後のピアプレッシャーは、当てはまる場面がいくつか思い出されます。朝活のカフェも、属しているコミュニティもそう。コロナの影響で、朝活のカフェから遠のいて1ヶ月以上が経ちますが、やはり効率の違いを感じます。環境を整えるというのは、集中力だけでなく、継続力にも大きく影響を与えているのではないでしょうか。

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