第十三巻「最後の努力」は、284~337年を統治した2人の皇帝、ディオクレティアヌス帝とコンスタンティヌス帝の時代がまとめられています。「帝政後期」(絶対君主政体に移行した時期)と呼ばれるこの時代。なぜ、絶対君主制に移行したのか、その実態はどのようなものであったのか、そのどこが元首政とは違うのか、そしてそれはどのような結果に繋がっていくのか。冒頭にあるユリウス・カエサルの言葉、「いかに悪い結果に繋がったとされる事例でも、それが始められた当時にまで遡れば、善き意志から発していたのであった」が象徴する、蛮族の侵入、それに対処した四頭政の時代。いよいよ終盤戦。
(第十三巻のポイント‥本書より)
〇主な年表
・293年:第一次四頭政開始(東方正帝ディオクレティアヌス、副帝ガレリウス、西方正帝マクシミアヌス、副帝コンスタンティウス・クロルス)
・303年:ディオクレティアヌス、キリスト教徒弾圧の勅令公布
・305年:第二次四頭政開始(東方正帝ガレリウス、副帝マクシミアヌス・ダイア、西方正帝コンスタンティウス・クロルス、副帝セヴェルス)
・308年:西方正帝にリキニウスを据えることで合意
・311年:東方正帝ガレリウス死去。東方正帝をリキニウスが継ぎ、西方正帝は空位。
・313年:マクシミアヌス・ダイア、ディオクレティアヌス死去。
・315年:コンスタンティヌスの凱旋門完成。
・324年:コンスタンティヌス、唯一の正帝となる。帝国の首都をビザンティウムに移し、新都の建設に着工。
・325年:キリスト教の司教を集めたニケーア公会議開催(三位一体説を正統とし、アリウス派を異端とする信条決定)
・330年:新都コンスタンティノポリスの完成を祝う式典挙行
・337年:コンスタンティヌス、滞在先のニコメディアで病死。
〇印象に残った言葉など
・重税は反乱の火種になりやすい。反乱が起きようものなら、鎮圧のための軍の出動が必要になる。国内制圧用の軍勢を常備しなければならない場合、国外の敵への防衛力を削減するわけにはいかない以上、軍全体の増強しかない。軍の増強は、増税に繋がる。そして戻るところは、反乱。この悪循環を阻止したければ、「広く浅く」を基本方針にした税制しかない。
・「いかに悪い結果に繋がったとされる事例でも、それが始められた当時にまで遡れば、善き意志から発していたのであった」(ユリウス・カエサル)
ローマ人の物語 (13) 最後の努力 (ローマ人の物語 13)
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/12/22
- メディア: 単行本
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