『モチベーション革命』(尾原和啓)
「何のために頑張るか」という価値観は世代によって異なっている。
(1)団塊世代は「ないものをいかに埋めるか」(達成・快楽)が最大モチベーションだったのに対し、30代以下の世代は、生まれた頃から何もかもが揃っており、何かが欲しいとは乾けないという「乾けない世代」。乾けない世代は、「意味合い」・「良好な人間関係」・没頭を重視する。
(2)「新しい価値」は、自分だけの「好き」や「歪み」から生まれやすい。
(3)「自分だけの世界の見方」を発信すると、それが他人にとって「新しい世界の見方」になったり、既存のものに新しい意味を与えたりする。
本書は、30代以下の乾けない世代目線でモチベーションについて、まとめた一冊。会社の若手教育・マネジメント教育に役立つ内容です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯上の世代と今の世代の違い
・どちらが偉いというわけではなく、価値観が異なり、それゆえにモチベーションの起点が異なる。
・モチベーションの違いを理解していないと、価値観やモチベーションの持ち方の違いゆえ不幸が起こる。
◯マーティン・セリグマンの「5つの幸福」
①達成
②快楽(物理的なポジティブ感情)
③没頭
④良好な人間関係
⑤意味合い
◯シリコンバレーの残業ゼロ、週休3日企業
・彼らは仕事を休んでいる間、ただ家でのんびりしているわけではない。「休んでいる間に、街でユーザーをしっかり観察してきてね」という意図が込められている。→休んでいる間に「インサイト」を発見してくるという仕事が課せられている。
・オイシックスの50%社員
1年のうちの50%は社員として働き、残りの50%は世界中を旅したり、大学での研究に打ち込んだりして、「インサイトをたくさん拾ってこよう」という取組。
・Yahoo!の週休3日、新幹線通勤
ユーザーが潜在的に求めているものをしっかり観察する時間や空間をわざわざ設けている。
◯ライフワークバランスの時代
・「仕事は辛いものだから、少しでも多く休んで私生活を充実させたい」と感じている人は、そもそもライフ(余暇)とワーク(仕事)が切り離されている。そして、いまの日本のビジネスパーソンには、こういった人が非常に多い。
・しかし、インサイトが重視され、仕事と遊びの境目があやふやとなった今は、なるべく仕事は「公私混同」で取り込んだ方が効果的。
◯仕事の永遠のツール「ありがとう」
・人が仕事をしていくうえで、どんなことが大切になっていくのか、どんな仕事なら、ロボットに代替されることなく、持続していけるのか。シンプルな言い方をするならば、それは「他人から感謝されて、お金がもらえること」。
◯変化を生き抜く3つの選択肢
①変化していくことをチャンスと捉えて、ずっと最先端を走り続ける生き方。「ライフワークバランス」を極め、ただひたすらに好きなことをやっていく道。
②宮大工のように、伝統職の中で、コツコツと働く生き方。
③永遠のフリーターを楽しむ生き方。
◯異なる強みを掛け算する
・変化するVUCA時代
①Volatility(変動が大きく)
②Uncertainty(不確実で)
③Complexity(複雑に絡み合い)
④Ambiguity(曖昧)
・トップダウンの組織では、間違いなく時代に取り残されてしまう。
・理想はゴレンジャー。出来るだけカラーの違うメンバーを揃え、あらゆる角度、意外な方向から飛んでくる変化をいかに素早く捉え、チャンスに変えられるか。凸凹をうまく噛み合わせ、それぞれが得意なことだけに専念できるようにする。
・重要なのは、状況に合わせて凸凹の組み合わせを変えていく柔軟さ。そのためには、まず自分たちの凸凹をしっかり把握しておくことが非常に重要。
◯自分のトリセツを書こう
ストレングス・ファインダーや偏愛マップで個人の強みと好きを把握したら、チームメンバー同士でトリセツを書いて交換する。
①この会社に入ろうと思った動機に繋がる最も古い記憶について
②自分が120%頑張っちゃうときは?
③「これだけはダメ、嫌」自分の取り扱い注意ポイントについて
◯生きがい
・生きがいとは、①あなたが大好きなこと、②世界が必要としていること、③あなたが稼げること、④あなたが得意なこと、の4点が交わるところに生み出される。
・とはいえ、もしあなたがまだ新社会人ならば、まずは目の前の仕事をひたすらこなし、集中することを優先してください。誰よりも熱意をもって目の前の仕事に時間をかけ、他の人との差によって「この人にはお金を払ってもいい」と会社に思ってもらえるだけの仕事をすることを、まずは頑張りましょう。好きなことで生きていく前に、まずは自分が食べていける足場をきちんと作ること。そこからじっくり時間をかけて「ライフワーク」を磨いて行けばいい。
最後の新社会人向けの言葉は「まさにそうそう!」って思います。アプローチはいろいろあって良いのでしょうが、ライフワークを磨くベース作りみたいなものですね。私はだいぶ時間が掛かりましたが、今ではライフワークを楽しめています。これまでの仕事に集中した効果は確かにあると思います。世代を超え、世代が持つ特有の価値観を理解しながら、世の中が良くなる方向に進んでいくといいなと思います。
モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書 (NewsPicks Book)
- 作者: 尾原和啓
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