『45歳の教科書』(藤原和博)
本書は、40代からの自分の人生を確固たるものにしていくために、自分の価値をどのように上げて行けば良いか(希少性を高めて行けば良いか)、という方法についてまとめられた一冊。特に、3つのキャリアの掛け算による100万分の1の存在になる手法と信用について詳しく述べられています。著者の関連図書『35歳の教科書』、『55歳までにやっておきたい55のこと』と合わせ読んでもいいかもしれません。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯3つのキャリアの「掛け算」=キャリアの大三角形
・40代いっぱいくらいの期間で、3つのステップ(点)を踏み、それらを結んで、できるだけ大きな三角形を描くことを目指す。
①まず初めの5年から10年で、ある分野の仕事をマスターする
1つの仕事をマスターにするのに、一般的には1万時間かかると言われる。
②次の5年から10年で、違う分野の仕事をマスターする
100人に1人の希少性を手に入れれば、1/100×1/100で1万分の1の稀少性を確保できたことになる。
③3歩目は、40代から50代にかけて作る3つ目のキャリア
④描いた三角形の大きさが、自分のキャリアの気象性を表します。
⑤描いた三角形を三次元化する。
平面だったキャリアの総量に「高さ」をつけるのは、自分の生き方に対する「こうありたい」と言う意思や哲学性、人生を描き切る美意識のようなものといえる。
◯1歩目:片足の足場を作る
・ほとんどの人にとって、キャリアの1歩目は、自分の実力というよりも、当時の経済状況や運といった「偶然」によるところが大きい。
・ある一つのことをマスターするのに必要な時間は、だいたい1万時間だと言われる。
・自分のキャリアを見極めておく
権力(サラリーマン志向)↔︎プロ(独立)志向、経済的価値(給料)↔︎経済以外の価値(家族、友達、個人的な活動、社会貢献)
◯2歩目:もう片方の足場を作る
・自分自身をリストラすること。合言葉は、「捨てる、止める、避ける、断る、逃げる、減らす」持っていても使わないモノはどんどん捨てる。モノに限らず、人間関係でも一緒。
・「ベクトルの和」が達成された状態。人はそれぞれ独自のエネルギーの強さと方向性を持っている。相手と対峙するような形ではなく、相手の志向と自分の志向とを最大限に活かそうという姿勢で物事に臨んでみると、人や仕事に対する発想がガラリと変わる。
◯3歩目を毒に踏み出すか充分に試行錯誤する
・バスケットボールの「ピボット」のように、「こっちの方向かな」「いやこっちかもしれない」と、試しに片足を踏み出してみる。
・3歩目には、今まで自分が蓄積してきた経験からくる、ものの見方や価値観、センス=情報編集力がそのまま反映される。
◯描いた三角形を三次元化する
・3歩目を大きく踏み出し、描き切った三角形の面積の大きさが自分のキャリアの気象性を示すものとなる。三角形の高さを出していくのは、徳を積むなど、宗教的な祈りに似た行為。
◯自分の「信用度」を数値化できるチェックリスト(満点=100点)
1)基礎編(五段階評価)
①挨拶ができる
②約束を守る
③古いものを大事に使う
④人の話が聴ける
⑤筋を通す
⑥他人の身になって考える
⑦先を読んで行動する
⑧気持ちや考えを表現できる
⑨潔さがある
⑩感謝と畏れの感覚がある
2)金融編(丸数字が点数)
①一銭も借りられない
②1000円なら借りられる
③1万円なら借りられる
④10万円なら借りられる
⑤100万円なら借りられる
⑥1000万円借りられる
⑦1億円でも借りられる
⑧10億円でも借りられる
⑨100億円でも借りられる
⑩ほぼ無制限に借りられる
3)応用編(YESは1店、NOは0点)
①体力がある
②学力が高い
③国家資格や免許を取得している
④スポーツか芸術で実績がある
⑤立候補すれば票が入る方だ
⑥出版物の著者である
⑦論文を書き研究費が与えられている
⑧勲章など国のお墨付きがある
⑨海外駐在か留学の経験がある
⑩ケチではない
⑪クラウドファンディングで資金を集めたことがある
⑫ツイッターのフォロワーが多い
⑬テレビに出演していて知名度が高い
⑭本を読む習慣がある
⑮記憶力は良い
⑯集客力がある
⑰公演すれば講演料をもらえる
⑱既婚で子供を育てている
⑲日本語が流暢に話せる
⑳名前を知られた会社に勤めているか国家公務員だ
㉑美味しいものはガイドに頼らないでもわかる
㉒美男(美女)もしくは愛嬌がある顔をしている
㉓苦労した体験を語れる
㉔皆が価値があると認めるものを持っている
㉕住まいのセンスはある方だ
㉖犬を飼って世話している
㉗TPOに応じたファッションセンスがある
㉘リスペクトされる車に乗っている
㉚上品な腕時計をしている
㉛する行動に移す方だ
㉜歴史を味方につけている
㉝会社以外のコミュニティに足場がある
㉞自分の名前の由来を語ることができる
㉟パワーがあって若いと言われる
㊱達筆な方だ
㊲挨拶は原稿なしで自分の言葉で語れる
㊳犯罪歴はない
㊴酒癖は悪くない
㊵自分の葬式には多数の参列があるだろう(笑)
キャリアの三角形、1/100×1/100×1/100=「100万分の1の存在」になるという著者の発想に触れたのが4年前。以来、意識するようになったものの、3つ目がなかなかしっくりこずに過ごしていました。しかし、ようやく最近「これかな?」というものを感じ始め、三角形の高さを出すには、「徳を積むなど・・」ということや「信頼」ということを本書で読んで、なるほど感が高まりました。100年人生を考えると折り返し地点に差し掛かる45歳。人生の後半戦が前半戦よりもさらに楽しく、幸せになるように、自分の未来について考えるきっかけになりました。