『右脳思考』(内田和成)
ロジックだけなく、感情や勘といった右脳を働かせることで仕事をより効率的に進め、成果をあげる。ロジカルシンキングを否定するわけではなく、左脳と右脳をうまく連動させて両刀使いすることを目指す本書。①左脳と右脳には使う順番と場所がある、②左脳と右脳は独立して使うものではなく両者の間でキャッチボールが必要、③ビジネスで役立つ右脳をどう鍛えるかという視点からまとめられています。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯企画が反対される場面
①パターンA:ロジカルに反対・・提案の完成度が低いから
②パターンB1:とにかく反対・・気に入らないから
③パターンB2:ロジカルに反対・・気に入らないから
→パターンAのみがロジカルシンキングで対応可能。パターンB1とパターンB2はロジカルシンキングでは通用しない。表面的にパターンAとパターンB2が同じに見えるという難題がある。
・結局、人間を動かすのはそれが正しいか、間違っているか、やるべきかどうかという理屈、すなわちロジックではない。やりたいとか、面白そうとか、やらないとまずいなといった気持ち、すなわち感情である。
◯思いつきを後から左脳で理論武装
・元々ロジカルに徹底的に分析し尽くした上で実行に移したわけでない事業やオペレーションが、気がついたら理論的にも正しい事業へ返信していたということがある。直感や経験から気づいたこと、感じたこと、つまり右脳的なことを、後からきちんと理屈付けた、すなわち左脳で理論武装したと言える。
◯右脳と左脳は交互に使う
①問題発見は右脳が出発点
②解決案は左脳で考える
③決定し、実行に移していくのは右脳が中心
◯アウトプットステージ
・意思決定時には「なんかおかしい」という感覚を大事にする。
・意思決定は左脳で考えて、ロジカルに行うことが最も大事だと教わる。私は、今回その考え方にあえて異を唱える。
・人間が本来持っている、「うまく説明できないが、なぜかそう思う」という感覚を繰り返し意思決定位取り入れることで、次第に間違いが少なくなっていけば、意思決定の質を高めることになる。
・全体として何か間違っているのではないかという問題意識は、通常のロジカルシンキングではなかなか出てこないので、常日頃勘を磨いておく必要がある。
◯意思決定の最後の決め手は勘
・物事を決めるにあたって、勘は重要であるが、一方で勘だけに頼って良いのかという疑問もある。そこで、実際の意思決定にあたっては、自分の勘で考えた答えを別の切り口から検証するプロセスがあると良い。
・例えば、直感で選んだ方とは別の道を選ぶとどんなことが起きそうか、あるいは嫌だなと思った方は、なぜ嫌なのかを多角的に検討してみる。こうしたことを自分の過去の経験と照らし合わせる。あるいは、自社の事例や他の業界で似たことがないか、思いを巡らせる。
◯理屈で反論する前に4つのステップで反応
①左脳で(論理的に)文字通りに何を言っているのか理解する
②右脳(直感)で発言の「真の意図」を掴む
③右脳(直感)で何をどのように答えれば良いか理解する
④左脳で(論理的に)どのように伝えれば良いかを考える
◯右脳を左脳でサポートするための方法論
①キーコンセプトから結論を逆算してロジックを考える
・市場性
・競争状況
・自社の強み・弱み
・ビジネスモデル
・実行計画
②ストーリーを作ってから、ロジックで細部を詰める
◯人を動かすのは4つの要素
①論理性
②ストーリー
③ワクワク・ドキドキ
④自信・安心
→②〜④は右脳系
◯観・感・勘をインプットに使う
①観察する
文字通り、ものを見たり、聞いたり、読んだりすること
②感じとる
五感を働かせて様々なものを感じ取る
③勘を働かせる
見たり、聞いたり、感じたことが自分の会社、ビジネス、業界、社会にどんなインパクトがあるのか、想像力たくましく思い浮かべる
◯サンドイッチ構造とキャッチボールの関係
①インプット(右脳:観・感・勘)
・情報収集、仮設づくり、課題発見。
・見る、感じる、閃く
②検討・分析(左脳:ロジック)
・真の課題の特定、分析、課題の構造化、代替案の抽出
・正解、数量化
③アウトプット(右脳:腹落ち、感情移入)
・意思決定、コミュニケーション、実行
・理解させる、納得させる、行動させる
右脳・左脳、直感・論理ということは、どちらも大切にしたいですし、どちらの側面からもアプローチしたいと思います。対立関係ではなく、補完関係。この両者を常に使い続けることで、新しいアイデアを試し続け、そこから継続的な何かが生まれるのかもしれません。