MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

捨て本(堀江貴文)

『捨て本』(堀江貴文
 本書は、著者が人生を振り返りながら「捨てる」ことについてまとめた一冊。捨てる対象は、所有欲、プライド、執着、人間関係、愛着、他人への期待、過度な自己評価、家、結婚、子ども、後悔、アイデンティティ、抵抗、信用、金儲け、嫌な仕事、修業などなど多岐にわたっています。

 持つことによって得るものもあれば、失うものもある。読み進めながら、自分の価値観を確認できると思います。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯所有欲

・喜びはモノを所有しなくても満たせる。逆に、うまく手放していけば、本当に欲しいものへと手を伸ばすことができる。

・所有物が価値を判断する基準となるので、自分が持っていないモノを持つ人を妬んだり、持っているモノを失うことを恐れたりと、心はまったく休まらなくなる。

 

◯収集癖

・所有は「それを変えるチャンスと経済力があった」という事実を可視化しているだけ。持っていること自体には何の意味もない。

・「金で満たされるものに時間と出費を投じるのは、無意味である」

 

◯仲間

・孤独に悩んでいる人は、きっと性格の問題ではなく、やりたいこと不足なのだと思う。

・友達なんかいなくていいよ、というくらいに好きなものにハマれば、自然にいい友人はできるのだ。

 

◯プライド

・数多くの人の成功と失敗、そして復活を間近で見てきたが、プライドでトラブルを解決した人は皆無と言える。

・プライドは所有欲と同じくらい、人生で最初に捨ててもいいモノだ。

 

◯ぶつかり合う勇気

・大事なのは、やるべき仕事をやること。

・人間関係に配慮して、言いたいことを言わず、空気読みを続けることなど、エネルギーの無駄。仕事のパフォーマンスを高めるためにも、恐れを捨て、本音で仕事に向き合ってほしい。

・ビジネスで望ましいのは、セミドライな関係。仕事として相手には尽くすが、互いに寄りかからない距離がベストだと思う。

・人間関係において、「お互いの価値観が異なっていることがわかる」のは、思考の質を高める上で、非常に大事。

・「価値観や意見が同じである」ことは、実は異常。

 

◯誰かのせい

・自信のない人、他人のせいにするクセのある人は、「世間では」とか「日本人は」とか、巨視的な立場の意見を言おうとする。

 

◯執着

・誤解されてはいけないが、周りに流されるということではない。

・意識しているのは、「自分の中の流れ」であって、他の人の流れとは関係ない。人は皆それぞれ自分にとっての川を流れている。

・流れていった跡を「こうしたらよかった」と振り返っても仕方ない。それまでの経路は無にできない。流れを遡ることも、無理なのだ。

・先のことも、終わったことも、考えないようにする。これしか正解はない。

 

◯人間関係

・「捨てる」痛みは、ゼロにはできない。

・痛みを感じないくらい忙しく、やりたいことに熱中していればいい。

 

◯信用

・できないことに対して怒るのは、正しい反応。大事なのは怒りを吐き出すより、怒りの理由をきちんと解析して、次の対処策に活かすこと。それが本当の意味での反省。

・肝心なのは、改善と再発防止。怒るような事態が起きた場合、怒りはさておき、まず反省すること。次に活かす方法を考えねばならない。

・大事なのは、「はい次!」

 

◯幸せの単位

・状況を受け入れて、できることを積み重ね、次へつなげていくこと。罰ゲームの中でもきっとできる。

・罰ゲームは、必ず終わる。それは揺るぎない事実。終わる時を信じて、自分で楽しみを創出しよう。

 

◯持ち物と思い出

・モノが溜まってしまう人に、一般的に共通しているのは「思い出の品を捨てられない」性格。

・思い出の品なんか”秒”で捨てなさいって!

・思い出の品を捨てられないという人は結局、ヒマなのだ。今という時間に集中して、熱中できるものに取り組んでいたら、過去を思い出すことなんか、ないはずだ。

・やりたいことに全力を尽くせていないから、思い出などに思考が奪われる。過去を慈しむ。これほど無駄な時間はないし、生産性もない。

 

 私はモノに対する執着が強い方なので、「う〜ん、なかなか難しいテーマ」と思いながら読みました。確かに、断捨離をして「入ってくる余裕を作る」「必要なものだけに囲まれている心地よさ」というのは感じます。収監でほとんどのモノを処分し、家も持たず、スーツケース4つ分の荷物だけで、ホテル暮らしを続ける著者だからこそ、捨てることの大切さを書けるのだと思います。

捨て本

捨て本

 

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