『捨て本』(堀江貴文)
本書は、著者が人生を振り返りながら「捨てる」ことについてまとめた一冊。捨てる対象は、所有欲、プライド、執着、人間関係、愛着、他人への期待、過度な自己評価、家、結婚、子ども、後悔、アイデンティティ、抵抗、信用、金儲け、嫌な仕事、修業などなど多岐にわたっています。
持つことによって得るものもあれば、失うものもある。読み進めながら、自分の価値観を確認できると思います。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯所有欲
・喜びはモノを所有しなくても満たせる。逆に、うまく手放していけば、本当に欲しいものへと手を伸ばすことができる。
・所有物が価値を判断する基準となるので、自分が持っていないモノを持つ人を妬んだり、持っているモノを失うことを恐れたりと、心はまったく休まらなくなる。
◯収集癖
・所有は「それを変えるチャンスと経済力があった」という事実を可視化しているだけ。持っていること自体には何の意味もない。
・「金で満たされるものに時間と出費を投じるのは、無意味である」
◯仲間
・孤独に悩んでいる人は、きっと性格の問題ではなく、やりたいこと不足なのだと思う。
・友達なんかいなくていいよ、というくらいに好きなものにハマれば、自然にいい友人はできるのだ。
◯プライド
・数多くの人の成功と失敗、そして復活を間近で見てきたが、プライドでトラブルを解決した人は皆無と言える。
・プライドは所有欲と同じくらい、人生で最初に捨ててもいいモノだ。
◯ぶつかり合う勇気
・大事なのは、やるべき仕事をやること。
・人間関係に配慮して、言いたいことを言わず、空気読みを続けることなど、エネルギーの無駄。仕事のパフォーマンスを高めるためにも、恐れを捨て、本音で仕事に向き合ってほしい。
・ビジネスで望ましいのは、セミドライな関係。仕事として相手には尽くすが、互いに寄りかからない距離がベストだと思う。
・人間関係において、「お互いの価値観が異なっていることがわかる」のは、思考の質を高める上で、非常に大事。
・「価値観や意見が同じである」ことは、実は異常。
◯誰かのせい
・自信のない人、他人のせいにするクセのある人は、「世間では」とか「日本人は」とか、巨視的な立場の意見を言おうとする。
◯執着
・誤解されてはいけないが、周りに流されるということではない。
・意識しているのは、「自分の中の流れ」であって、他の人の流れとは関係ない。人は皆それぞれ自分にとっての川を流れている。
・流れていった跡を「こうしたらよかった」と振り返っても仕方ない。それまでの経路は無にできない。流れを遡ることも、無理なのだ。
・先のことも、終わったことも、考えないようにする。これしか正解はない。
◯人間関係
・「捨てる」痛みは、ゼロにはできない。
・痛みを感じないくらい忙しく、やりたいことに熱中していればいい。
◯信用
・できないことに対して怒るのは、正しい反応。大事なのは怒りを吐き出すより、怒りの理由をきちんと解析して、次の対処策に活かすこと。それが本当の意味での反省。
・肝心なのは、改善と再発防止。怒るような事態が起きた場合、怒りはさておき、まず反省すること。次に活かす方法を考えねばならない。
・大事なのは、「はい次!」
◯幸せの単位
・状況を受け入れて、できることを積み重ね、次へつなげていくこと。罰ゲームの中でもきっとできる。
・罰ゲームは、必ず終わる。それは揺るぎない事実。終わる時を信じて、自分で楽しみを創出しよう。
◯持ち物と思い出
・モノが溜まってしまう人に、一般的に共通しているのは「思い出の品を捨てられない」性格。
・思い出の品なんか”秒”で捨てなさいって!
・思い出の品を捨てられないという人は結局、ヒマなのだ。今という時間に集中して、熱中できるものに取り組んでいたら、過去を思い出すことなんか、ないはずだ。
・やりたいことに全力を尽くせていないから、思い出などに思考が奪われる。過去を慈しむ。これほど無駄な時間はないし、生産性もない。
私はモノに対する執着が強い方なので、「う〜ん、なかなか難しいテーマ」と思いながら読みました。確かに、断捨離をして「入ってくる余裕を作る」「必要なものだけに囲まれている心地よさ」というのは感じます。収監でほとんどのモノを処分し、家も持たず、スーツケース4つ分の荷物だけで、ホテル暮らしを続ける著者だからこそ、捨てることの大切さを書けるのだと思います。