『仕事の思想』(田坂広志)<3回目>(◯)
週末の勉強会テーマ「仕事」に向けて再読しました。一つひとつのテーマに対する深みを感じるのが著者の著書。振り返りと内省。そこから先への思考・行動。本を読むことでこういう動きが作り出せ、「行動」に変化を起こせる書籍はやはり名著だと思います。何回読んでもいいものはいい!
(印象に残ったところ・・本書より)
①思想
・「仕事の思想」を心に抱くことが「錨」となる。
・生活のために毎日自分の労働力を切り売りしているという感覚は、その仕事に関わっている毎日の何時間かを無味乾燥なものにし、私たちの掛け替えのない人生を色あせさせてしまう。
②成長
・最初に見えてくるのは「仕事の報酬は、給料である」
・次の世界は「仕事の報酬は能力である」
・その向こうに「仕事の報酬は仕事である」という世界がある。
・さらに先に「仕事の報酬は、成長である」。「人間としての成長」を見失わないようにしなければならない。
③目標
・人前で堂々と夢を語るということは、自ずとその発言に対する責任を負うことになるため、自分自身を追い詰めていくための優れた方法になる。
・人間が最も成長するときは、自分にとって達成できるかわからないほど難しい課題にあえて挑戦し、退路を断って悪戦苦闘するとき。
④顧客
・黙って去る顧客こそが、ビジネスマンにとって最も「厳しい顧客」。
・黙ってさる顧客の表情、頷き方、首の傾げ方、目の配り方、目を合わせた時の視線、何気ない質問のニュアンス、やり取りの呼吸、こちらからの問いかけに対する答え方の雰囲気、会議全体の空気、最後に別れる時の余韻などの「無言のメッセージ」に耳を傾けること。
⑤共感
・「顧客との共感」を通じて、「こころの成長」を遂げていくことができる。
・実際に顧客の共感を得る営業担当者は必ずしも多くはない。顧客を意のままに動かしたいという、無意識の「操作主義」があるから。
⑥格闘
・「人間力」を高めようと思うならば、やはりある人間と真剣に正対し、その人間の精神と格闘し、その精神の緊張が生み出す苦痛と闘いながら、自分の精神の限界に挑戦しなければならない。それをしない限り、「人間力」が高まっていくことはない。
・「物分かり」の良いマネジャーは、無意識にそうした格闘を避け、苦痛を避けている。だからこうしたマネジャーにとっては、「物分かり」の良さとは、そうした格闘を避けるためのカムフラージュである。
⑦地位
・「ノブリス・オブリージュ」
・「仕事のリスク」に責任を持つということは、そのマネジャーの立場に立つ人間の精神を鍛え、成長させてくれる。そして、そうした自分自身の精神の成長を感じることが、マネジャーにとって、深いレベルでの「喜び」となっていく。
⑧友人
・何十年もの永き歳月を別々の道を歩み、そして互いに顔を合わせることがなくとも、互いに言葉を交わすことがなくとも、無言の励ましを送り合うことのできる友人。それが(著者にとっての)「友人」。
⑨仲間
・かつて深い縁に導かれ、あるひとつの職場に人々が集まったこと。それらの人々が心を合わせて大きな夢を描いたこと。その夢を実現するために、力を合わせて困難な仕事に取り組んだこと。そうした仕事を通じて、それらの人々が、互いに理解し合い、共感し合う「仲間」になっていったこと。そして、その職場において、一人ひとりが仕事の喜びを見出し、職業人として、人間として、大きく成長していったこと。
・そうしたことなど、いつの日か、すべては忘却の彼方に消え去っていく。しかし、だからこそ素晴らしい。名前も形も残すことなく消え去っていく作品。
⑩未来
・力を尽くして歩んだあと、私たちがなすべきことは、ただ一つ。未来に想いを馳せること。我々がさった後、いかなる夢が花開くのか。その問いを胸に、未来に想いを馳せること。
・そして、力を尽くして歩み、未来に想いを馳せるとき、私たちの中には、祈りの如き覚悟がやってくる。
改めて読んでみて刺さったのは、「物分かりの良いマネジャーは、格闘を避けている」という言葉。この一言を言うべきかどうか。仕事の現場では、自分の言葉・行動について悩むことが多々あります。その向かう先が、単に「自分の心の安定」、ストレスフリーな状態ではないか。戒めにもつながる言葉でした。